乃木坂46『隙間』について考える。 ~秋元康『こんなに美しい月の夜を君は知らない』発売記念 歌詞解説募集キャンペーン 投稿記事②~

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今回は二曲目。取り上げるのは乃木坂46『隙間』だ。この曲のエッセンスは、この歌詞に集約されていると思う。

見えないその糊代 人間は成長する
周りを見回しながら青春を スローモーションで楽しみたい

乃木坂46『隙間』

僕はこの曲のテーマを、「人間はいつから大人と言われるのか?」というものだと捉えている。なんだか、大学で受けた教育原理という授業の受け売りのようで恥ずかしいが…

曲全体で直接的に歌われているのは昼から夜へという時間の変化であり、子供の頃には「路地裏からぽつぽつ明かりが点いた」から、「徐々に夜に」なっていた(少なくとも主人公はそう感じていた)のに、今は「都会の灯りが一斉に点く」ために「今日の終わり方(=夜になって、活動が終わる)が準備できない」というものだ。

「いつまでが昼で、いつからが夜なのか?」という問いに対しては、日の出・日の入りという目安こそあれ、明確に回答することは不可能だろう。だからこそ、そのグラデーションを担う夕焼けが美しく見える。

これと同様に、「人間はいつまで子供で、いつから大人と言われるのか?」という問いに対して明確に回答するのも難しい。もちろん、明確な基準がないからこそ、年齢を基準としたり、通過儀礼を行って便宜上大人という扱いをするのだろうが、特に思春期の子供たちは日々成長していて、気づいたら大人になっていたというのが僕たちの率直な感覚であると思う。

「人間はいつから大人と言われるのか?」ということ以外にも、僕たちは様々なグラデーションの中で生きている。勉強のできるできない、仕事のできるできない、才能のあるない…とか。それにも関わらず、極端に二元論的な考え方をしてしまいがちなのだが、大半の人間は両者のグラデーション、いわば「隙間」に存在しているのだということを自覚し、一歩ずつ自分の志向する方向へ進んでいければ良いのではないだろうか。


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