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【ネット歯科大】歯科でよく使う薬

 歯科でも患者さんに飲み薬を出すことがあります。
 
通常の歯科治療の中で使用する薬の種類は、それほど多くありません。
 
 歯科でよく処方される薬は2種類です。菌をやっつけるためのものと、痛みを抑えるためのものです。
 
 菌をやっつける薬を、抗菌薬といいます
 
 歯科の病気は、細菌の感染によるものが多くあります。たとえば、むし歯や歯周病は、ともに細菌感染が原因となる疾患です。
 
 したがって、細菌を減らすことで症状の改善を目指す治療があります。
 
 歯根の周囲や歯ぐきの腫れが大きい場合、または膿(うみ)をともなっている場合などに抗菌薬は用いられます。しかし、腫れや痛みのないような軽いむし歯や歯周病に対して抗菌薬を使用するケースは限られています。
 
 抜歯の際にも抗菌薬を使用することがありますが、以前ほどには使われなくなっているようです。
 
 抗菌薬には期待する効果がある反面、期待していない作用が生じる場合があります。たとえば、腸内の細菌バランスがくずれて下痢になるような可能性が挙げられます。また、特定の抗菌薬が効かない細菌が増殖してしまうといった問題もあります。
 
 このため、適正なタイミングと投与量で抗菌薬を使用すべきである、という考え方が主流となってきました。
 
 また、歯科でよく使用するもうひとつの薬は、痛み止めです。よく使用する痛み止めの薬を、消炎鎮痛薬(しょうえんちんつうやく)といいます。
 
 痛みがあるケースでは炎症が強く出ていることが多いため、炎症を鎮めること、つまり消炎を図ることが痛みの緩和につながります。
 
 胃腸が弱い方では、消炎鎮痛薬の服用をきっかけに胃腸に症状が出てしまうことがあるので注意が必要です。
 
 さて、歯科でよく使用する抗菌薬と消炎鎮痛薬ですが、それぞれ目的が異なります。このため、飲み方やタイミングも異なってきます。たとえば、続けて飲む必要があるものや、反対に1回で有効なものもあります。
 
 最近は高齢者の増加にともなって、歯科に来院する患者さんも日ごろから薬を飲んでいるという方が増えています。
 
 その場合、薬の相互作用や臓器への影響についても注意する必要があります
 
 薬はいろいろと関係する事項がありますので、歯科医師や医師、薬剤師の注意を守って使用してください。
 
神奈川歯科大学 青山典生

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