歯周病はありふれた病気で、軽度のものを含めると成人の8割が歯周病であるとされています。 その中で、妊娠中に歯ぐきが腫れやすくなる「妊娠性歯肉炎」という疾患があります。 妊娠中は女性ホルモンが増加することに伴い、細菌に対する抵抗力が弱まって、歯ぐきが腫れやすくなるとされています。 さらに、一部の歯周病菌は女性ホルモンを栄養源として増殖することが知られています。インターメディア菌といって、妊娠性歯肉炎における主要な病原因子です。 思春期にも歯肉の腫れが生
歯科医師の主な仕事場は歯科の外来です。それ以外にも、大きな病院や大学などの教育・研究施設、地域や行政で働く歯科医師もいます。 その中で今回は、歯科医師が仕事の一環として海外に行くケースについて挙げていきたいと思います。 まず、もっともありふれた海外渡航の理由として、国際学会への参加があります。 学会での発表は、臨床の内容から研究発表まで、テーマが多岐にわたっています。すなわち、歯科医院で主に診療を行っている歯科医師も、大学で研究をメインに活動する歯科医師も
歯周病は、歯を支えている骨が減ってしまう病気です。その骨の減り方には、2つのパターンがあります。 その2パターンとは、「垂直性」と「水平性」の骨の減少です。 歯がきれいに生えそろっていて歯周病もない場合、歯が植わっている骨は平らな状態です。 この状態から歯周病が進んだと仮定しましょう。 骨が平らな状態を維持したまま、全体的に同じように骨が減っていくと、水平性の骨の減り方となります。 水平性に骨が吸収しているパターンでは、歯ぐきの腫れはあるものの
かたいものを食べるには、丈夫な歯が必要です。 では、歯の状態は食べものの選択に影響しているのでしょうか。 これまでの研究によると、歯の数と摂取した栄養素に関連があるという報告が認められる一方で、その影響は軽微であるという結果報告も見当たります。 特に歯の数だけでなく、奥歯での歯と歯のかみ合わせがあることが大切です。 歯が残っていても、上下でしっかりかみ合う歯同士がない状態のことを「すれ違い咬合(こうごう)」と呼びます。 すれ違い咬合の状態では、
歯科医師になるには、歯科大学や歯学部にて6年間の教育を受けます。 そして、最終的には歯科医師国家試験を受験し、合格する必要があります。実際にはその後1年以上の歯科臨床研修を経験することになりますが、大学を卒業して歯科医師国家試験に合格すれば、ひとりの歯科医師です。 国家試験は筆記の選択式試験なので、知識を評価することになります。では歯科医学に関する知識だけあれば歯科医師になれるかというと、そうとは限りません。 6年間の大学在学中に、知識以外を評価する試験が
「歯並び」という言葉もあるように、歯は並んでいるものです。 きれいに歯が並んだ状態では、歯は両隣の歯とわずかに接触しています。 接触している点を「接触点」あるいは「コンタクト」と呼びます。 普段、意識することはまったくありませんが、隣の歯との適切な接触は歯にとってとても大切です。 たとえば、歯と歯の間が開きすぎてしまうと、食べものがはさまりやすくなってしまいます。そうすると汚れがたまりむし歯になりやすくなるだけでなく、歯ぐきにダメージを与えてしまうとい
歯科に限ったことではありませんが、病気は予防が大切です。 一般的な口腔疾患として、う蝕と歯周病が挙げられますが、これらは予防することができます。フッ素を使用したり、しっかりと歯みがきをしたり、デンタルフロスや歯間ブラシをマメに使用したり、といった方法が自宅でできる予防法です。 定期的に歯科医院に来院して、プロに清掃してもらうことも効果的な予防方法です。このことは、多くの学術論文によって証明されています。 さて、歯科治療には保険診療と自由診療があります。
食べものをかむことは、口の主要な機能のひとつです。かむことを咀嚼(そしゃく)運動といいます。 咀嚼運動は、特に意識しなくてもスムーズにおこなうことができます。それでいて意識して早くしたり止めたりすることもでき、これは自動化された指令システムに基づくものであり、呼吸や歩行などと同様です。 咀嚼がそのようにプログラムされているのは、それだけ生命維持に重要な動きだからといえます。 さて、かむためには口を閉じる方向に筋肉を働かせる必要があります。 口を閉じる
歯周病の患者さんに対して、手術を行う場合があります。歯周外科手術、または歯周外科治療といいます。 細かく分けると手術の目的は多岐にわたりますが、大きくとらえると歯周病に対して行う手術の目的は2つ挙げられます。 ひとつは、歯の周囲を徹底的にきれいにすることです。 歯周病は歯周ポケットと呼ばれる溝の中に細菌がたまることで進行します。また、細菌が石灰化すると歯石になり、歯の表面にがっちりと付着してしまうことで歯周病を悪化させます。 歯周ポケットの深い部分に
歯周病は、むし歯とならんで口の主要な病気です。実は、歯周病になるのは、ヒトに限ったことではありません。 近年、イヌの歯周病についても注目が集まっています。イヌも歯周病になるのです。 なお、今回、「ヒト」や「イヌ」などとカタカナで表記するのは、生物の種類のひとつとして取り扱っている表現だからです。 歯周病の主な特徴として、歯石がつく、においが出る、歯ぐきが下がる、などが挙げられます。イヌの歯周病でも、同じような症状が生じます。 歯周病は歯の周囲に細菌が
小学生のころに生えてくる永久歯は、その後の生え変わりがありません。長い年月にわたって機能する歯なので、ときに割れてしまうこともあります。 歯が割れることを破折(はせつ)といいます。 歯の破折は部位によって区分けされ、上の方で割れた場合を歯冠破折、根で割れれば歯根破折と表現します。 歯冠破折であれば、場合によって神経を取ることもありますが、多くは歯を保存できます。その際、つめものやかぶせものを用いて修復することとなります。 一方、歯根破折では、抜歯する
歯の治療において、かみ合わせはとても重要です。実は、歯ぐきの病気である歯周病の治療にも、かみ合わせが影響します。 今回は、歯周病治療におけるかみ合わせの調整について記載していきます。 まず、なぜかみ合わせが歯周病に影響するのかについて考えていきましょう。 歯周病は、歯の周りに細菌がたまり、それが原因で歯ぐきの腫れを起こすだけでなく、やがて歯を支える骨を溶かしてしまいます。骨が溶けていくと、歯の支えが弱くなり、歯の揺れが生じることにつながります。 この
歯科では、歯の模型をよく使います。模型を作るためには、型取りをする必要があります。今回は型取りと模型の関係について触れていきます。 模型を作るために行う型取りですが、専門的には印象採得(いんしょうさいとく)といいます。印象のための材料には、適度な流動性と、固まったあとの安定性が求められます。 印象は、金属製の部品を作製するときの鋳型にあたります。歯の型取りをする場合、ちょうど歯の形のくぼみがある印象を得られることが適切です。その型取りした印象に対して、石膏などの
11月8日は、「いい歯の日」です。いまから30年ほど前、1993年に日本歯科医師会が設定しました。 日本歯科医師会のホームページによると、いい歯の日と設定したことにより、国民へさまざまな歯科保健についての啓発活動をおこなうとされています。 また、4月18日を「よい歯の日」、6月4日を「むし歯」にちなんで歯と口の健康週間と設定しています。 さらに、歯科口腔保健の推進に関する各地の条例によって、11月8日を含む週間や月間を定め、歯や口の健康の維持と増進を図って
歯科でも患者さんに飲み薬を出すことがあります。 通常の歯科治療の中で使用する薬の種類は、それほど多くありません。 歯科でよく処方される薬は2種類です。菌をやっつけるためのものと、痛みを抑えるためのものです。 菌をやっつける薬を、抗菌薬といいます。 歯科の病気は、細菌の感染によるものが多くあります。たとえば、むし歯や歯周病は、ともに細菌感染が原因となる疾患です。 したがって、細菌を減らすことで症状の改善を目指す治療があります。 歯根の周囲や歯
歯を失ったあとの治療法は主に3種類あります。周囲の歯を土台として使用するブリッジ、金属の芯を骨に立てるインプラント、そして取り外しのできる部分入れ歯です。 今回は、部分入れ歯に使用する材料と、その特徴について触れていきます。なお、一般的には入れ歯と表現しますが、専門的には義歯(ぎし)と呼びます。 まず、入れ歯には部分入れ歯と総入れ歯があります。総入れ歯は、すべての歯が失われた後に入れるものです。1本でも歯が残った状態で入れるものを、部分入れ歯と表現します。