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【ネット歯科大】歯周病治療のためのかみ合わせ調整

 歯の治療において、かみ合わせはとても重要です。実は、歯ぐきの病気である歯周病の治療にも、かみ合わせが影響します。
 
 今回は、歯周病治療におけるかみ合わせの調整について記載していきます。
 
 まず、なぜかみ合わせが歯周病に影響するのかについて考えていきましょう。
 
 歯周病は、歯の周りに細菌がたまり、それが原因で歯ぐきの腫れを起こすだけでなく、やがて歯を支える骨を溶かしてしまいます。骨が溶けていくと、歯の支えが弱くなり、歯の揺れが生じることにつながります。
 
 このような歯周病の進行において、かみ合わせの状態がよくない歯があると、歯を支えている歯ぐきや骨にさらにダメージが蓄積します。
 
 かみ合わせの状態がよくないとは、あまりに強い力がかかる状態や歯ぎしりなど長時間にわたって負担がかかる状態などがあてはまります。その他にも、歯をスライドさせた際の上下の歯の合わさり方により、あまりよくないかみ合わせということがあり得ます。
 
 ここで大切なこととして、歯に負担がかかりすぎると、歯周病が進行してしまうという事実があります。
 
 かむことによって歯にかかる力は、歯とその周囲の組織が負担しています。この負担が大きい場合、歯周病による骨の吸収を促進してしまいます。
 
 歯周病治療の基本は、患者さん自身によるブラッシングの改善や、歯科医師または歯科衛生士による歯石とプラークの除去です。これらはすべて、歯の周りの細菌を減らすことが目的です。
 
 一方、歯にかかる負担を軽減することも、歯周病治療にとって大切です。
 
 そのための治療法のひとつとして、かみ合わせの調整があります。
 
 具体的には、上記で挙げたような歯に負担がかかりすぎる状態を解消するための処置が、かみ合わせの調整に該当します。
 
 「かみ合わせ」とは、難しいものです。どういう状態が適切なかみ合わせかは、人によって大きく異なります。
 
 また、かみ合わせはバランスが重要です。ひとつの歯の負担を解消したつもりが、別の歯の負担を増す結果になることもあります
 
 こういった背景から、かみ合わせの「改善」という表現はあまり使用せず、「調整」という呼び方をします。
 
 歯周病治療の中で、かみ合わせの調整は必須の処置ではありませんが、わりとひんぱんに行う処置です。
 
 かみ合わせは、自分で気にすれば気にするほど、気になってしまうものでもあります。もし大きな問題がないのであれば、かみ合わせについてあまり気にせずに過ごしていただくことも、ひとつの大切なポイントです。
 
神奈川歯科大学 青山典生

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