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【ネット歯科大】入れ歯に使われる材料と特徴

 歯を失ったあとの治療法は主に3種類あります。周囲の歯を土台として使用するブリッジ、金属の芯を骨に立てるインプラント、そして取り外しのできる部分入れ歯です。
 
 今回は、部分入れ歯に使用する材料と、その特徴について触れていきます。なお、一般的には入れ歯と表現しますが、専門的には義歯(ぎし)と呼びます。
 
 まず、入れ歯には部分入れ歯と総入れ歯があります。総入れ歯は、すべての歯が失われた後に入れるものです。1本でも歯が残った状態で入れるものを、部分入れ歯と表現します。
 
 歯が残っているかどうかは、上下の顎を別にして考えます。つまり、上の歯はまったくないけれども下は数本残っているような場合、上は総入れ歯、下は部分入れ歯となります。
 
 このため、部分入れ歯といっても、状況によって大きさがかなり異なります
 
 上下それぞれ親知らずを除くと14本の歯があります。1本欠損用の小さい部分入れ歯もあれば、13本欠損の総入れ歯に近いような部分入れ歯もあります。
 
 このように入れ歯といってもバリエーションに富むため、状況に応じてさまざまな材料が組み合わされています。
 
 まず、粘膜と触れる床を形成する部分に使われるのは、樹脂か金属です。
 
 一般的には、多くの場合に樹脂(プラスチック)を用います。金属では薄くできるため違和感が少なく、また温度を伝えやすいので食事の際の感覚が維持できるという利点があります。
 
 また、支えとなる部分にも金属が用いられます。たとえば歯に沿わせて横揺れや過度な沈み込みを防ぐために、金属のパーツが機能します。樹脂を補強して、壊れにくくするためにも金属は使用されています。
 
 床の部分の樹脂はピンク色であることが多いのですが、歯の部分にも樹脂が使われています。歯の部分の樹脂は、当然、白い色となっています。
 
 樹脂にも硬さの違いがあり、歯科医師の判断によってさまざまな硬度の人工の歯が使用されています。これは患者さんのかむ力などの特性や、位置による力のかかりやすさの違いなどが考慮されています。
 
 歯の部分には樹脂以外にも、セラミックや金属が用いられることもあります。
 
 上記以外にも、ケースとしてはそれほど多くないものの、入れ歯にはさまざまな材料が使われています。たとえば磁石を応用して、入れ歯の安定性を向上させるようにしている場合があります。
 
 義歯に使用されている材料は主に樹脂と金属ですが、いずれにしても材料が組み合わせで用いられています。それらの特性に合わせて清掃などの管理をしていただく必要があります。
 
神奈川歯科大学 青山典生

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