shino sugimasa

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まいちゃんとなおとくん

 まいちゃんの唇は、ふっくら乾いて高温。  肩までのくせの無い黒髪、丈夫そうな濃い色味の肌、たっぷりの長いまつげが縁取る二重の大きな目、くっきりとしたかもめ眉毛、は、わたしととても似ていた。  でも、まいちゃんは、背が高く、手足が大きく、声はかすれ気味のアルト。大きな口は自由に動き、戸惑うことなど無く思いを自在に言葉にできる。  そこは、わたしと、全く似ていなかった。  似ているけれど、似ていない。小さく鈍くすぐ泣く湿ったわたしとは違い、まいちゃんは大きくて自信に溢れ

    • 空は夏と秋の境目

      「山手線で一周すれば一時間つぶせます」  そう言ってみたら、隣に座る夏井さんの凛々しい眉毛がくいっと上がった。 ◇ 「野球?好きですよ」  春の新歓シーズン、マネージャーやらない?と半ば強引に”溜まり場”へ連れて行かれた大学の非公認野球サークル、学内に数多あるようなとこ。  口達者な三年の会長が、うちのメンツじゃ四年の夏井さんが一番上手いし文句無しにかっこいい、と、この場にいない人の話で盛り上げにかかる。夏井さんは主砲の外野手らしい。あの人、硬派だよね、柳田さんもそ

      • あいつらと同じに

        あいつとも、あいつとも、あいつとも、あいつとも 一緒にやりたかったのは 一晩中カラオケして 駅前のコンビニの前でぼーっとして 県を5つまたぐドライブして シモネタで馬鹿笑いして 好きな女子の話をして キャッチボールして 来月結婚する友達の余興を考えて 飲み明かして 肩と肩をぶつけあって おまえもう帰れよっていわれても いつまでも人んちのベッドの上で漫画読んで ゴロゴロして そんなこと。 セックスじゃない。 あいつらと同じ、男に生まれたかった。

        • しらない植物

          茎が束になって生えてるんです、ひと束20本くらい。 根本からの高さは30センチほどでした。 根本に向かって緑から白へのグラデーションになってて。 なんか、きれいだから思わず掴んじゃう。 片手で、わしって掴めます。 茎の上の方にだけ、小さな丸い葉が沢山ついてて。 あ、葉の雰囲気は無駄に伸びすぎちゃった豆苗っぽいです。 豆苗、一度買うと三回くらい水栽培して食べませんか。 ま、それはどうでもいいですね。 わしっと掴んで地面から抜こうとするとね、 根本が10センチくらいの円盤状に

        まいちゃんとなおとくん