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話を聞いてるつもりの人も要注意。話を聞くとは「相手が自分を体験すること」-書籍「LISTEN」を読んで-

14年、コーチの仕事をしてきて「聞く」ことに関しては人一倍考え実践してきました。

「聞くとは相手の表現を促進すること」
「話を聞かないのも聞くスキル」
「聞く」については様々な知見があります。「聞く」という行為は非常にシンプルで毎日行っていますが、その影響や実践はかなり奥深いものです。

そんな中、久しぶりに聞くことをテーマにした本「LISTEN」を読みました。監訳は篠田真貴子さんがしてらっしゃいます。
この本の中で、聞くとは「相手が自分を体験すること」というフレーズが出てきます。これは自分がコーチで体験したことを絶妙に表現してくれたと感じました。

コーチングにおいて、聞き手(コーチ)は話し手が主体的に前進していくための存在します。話し手が多様な視点で自分のことを話し気づいていく。自分が感じていたことを言語化して自己認識を高めていく。
そんなコーチングセッションをしたいと僕は常々意識しています。それが「相手が自分を体験すること」という一文でまさに言い表されていると感じました。
なぜ、これを大事にしているかというと、自己認識が低いとやりたいことが不明瞭だったり、ブレーキをかけている原因が分からなかったりして、成長・成功を妨害する大きな要素になるためです。

この「自分を体験すること」というのは、ひとりではなかなかできないことです。ひとりだと、思考の袋小路に入ってしまったり、分かっているつもりになって考えなかったり、頭が疲れるので無意識的に避けたりということが起きます。そこで、他者との対話の出番となる訳です。

コーチングや組織における1on1で、こうした体験を相手にもたらしたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
では、「相手が自分を体験する」聞き方をするには何が必要なのでしょう。

書籍によるとCIA職員は聞き手として優れた人を採用することに注力しておりマクマナスという敏腕CIA職員は話を聞いているとハイになったかのようにわくわくするというエピソードが語られています。そして、「聞くという行為には、何よりも好奇心が必要です。」と書かれています。

これは経験上、僕も同意する内容です。好奇心が話を聞こうというマインドをつくりますし、質問もそこからうまれます。
僕の中での対話のイメージは、相手が何を発見するための2人で探索を行ってというものです。2人でジャングルをまわって草を分け洞窟に飛び込み、時に猛獣に出くわしながら、宝物や絶景に出会う。
そこには2人の好奇心があります。

反対にやっていけないのは「相手が何を言うかわかっているとか、自分の方がよく知っているという思い込み」を持つことです。これは、相手をひとりジャングルに放り込んで自分は高台からビールを飲みながら見学してるようなものでしょう。このマインドセットでは、あなたの思い込み以上に話が発展することはありません。
書籍でも「会話がどうなるかわかっていると考える態度は、好奇心を殺し、聞くことを台無しにする」と書かれています

聞くには傾聴テクニックとして、アイコンタクトとかオウム返しするとか形式的なものがあり、それももちろん重要です。ただ、相手が本当に聞いてくれているのか。これは、人間はとても鋭敏に感じ取るものだと思います。
本当に聞いている人のマインドセットとして、「好奇心」は欠かせません。

・なんで、この人は今この話をしたのかな?
・どんな人生経験がこの価値観をうんだんだろう?
・この打ち合わせの後には、はじめに何をするのかな?

といったように相手にへの好奇心を持ちながら、話をしていると聞きたい事、質問したいことがどんどん湧いてくるはずです。

タスク管理や質問のスキルなんかは一度忘れて、「好奇心でただ聞く」時間を相手ととってみるといいかもしれません。それは、「相手が自分を体験する」時間につながっています。


LISTENは読みながら、他にも思うことが多々ありました。また機会があればとりあげたいと思います。対話について深めたいという方はぜひ読まれてみてください。

聞くことについて以前別のコラムを書いたので興味ある方はどうぞ。

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