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いい問いとは何か? 【書籍メモ】

SNSでも多くの方がおすすめしていたこの本。
コーチをする身として見逃す訳にはいきません。
その本とは京都大学准教授の宮野公樹さんの著書「問いの立て方」です。

この本を読んで一番持ち帰りたいなと思った内容は
「問い」に出会ったら、「なぜその問いがうまれたのか」を問う。
ということ。

本文を引用すると

いい問いとは本質的な問い。本質的とは「なぜその問いがあるのか」といった根源的な存在についてまで考えられているか否かですので、それぞれの問い(意見)が発せられた根拠に着目します。

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ちょっと「?」となりそうですが、つまり、「問い」がうまれた根拠について着目して考えるということです。例を読むとより分かりやすいです。

A「いかに1つの仕事に没頭するか?その道一筋で生きるのか」
(その前提)1つの仕事に熱心になることで自分自身が磨かれるものだ。

B「兼業、副業を推進するプロジェクト型雇用をいかに常識としていくか」
(その前提)仕事とは自分自身の発見のことだ。幅を広げることに自己の成長がある。

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前提を考えることで抽象度があがり、より本質的な問いが見えてくるという訳です。

この場合、AとBの考えは反発する意見だけど、前提を考えると仕事に対する考えは「金銭を得る」ことより、「自己研鑽」としての傾向が強いということがA、Bに共通していると筆者は述べています。

たしかにそれが見つかれば、「仕事を通して成長するにはどうするべきか?」というような共通する問いが生まれ、対話が発展していきます。

一方、前提を考えないと、問いと同じ次元で答えようとしてしまいます。反射的に手持ちの答えを出していくようなイメージです。こうすると、違う考え同士では折り合いがつかず建設的な議論ができません。

また、本の中で対話に臨む姿勢として
・相手が世界をどう見ているのか
・自分と違うあの見方を持つ人をなぜ私は創ったのか
・その事実をどう受け止めるのか
を問うことが紹介されています。相手と見方が異なるという事実をどう受け止めるのか。「対話も最後は『自分』に還ってくる」という言葉が印象に残りました。

その後、本では「前提」の土台には「観念」「歴史」「存在」があると論を展開していきます。書籍ではそれを図示するチャレンジをしているので、興味ある方は手に取ってみてください。(筆者の思考プロセスをたどりながら文章を読み、眺めることで図の持つ意味を感じることができます。)

変人で形容される京都大学らしい?文章で、ちょっとやりすぎかなと思いながらも面白く読ませていただきました。宮野さんの他の本も読んでみます。

筑摩書房のためし読みサイト
https://www.webchikuma.jp/articles/-/2280


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