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CEO、トキワ荘について語る |CEO Interview #02

こんにちは!株式会社Newbees HR担当のmomoです。
本日はNewbees CEOであるkazuさんの2回目のインタビューです。
オフィスから7km以上も離れた公園を待ち合わせ場所に指定したkazuさん。
どうやら何か企んでいるみたいです。


── 本日は宜しくお願いします。というか寒いです!

公園でのインタビューだから仕方ないね。


── なんで「公園でインタビューしよう!」なんて言い出したんですか!いま2月ですよ(泣)。風もめっちゃ強いですし…。

会議室のインタビューばかりだと、飽きちゃって…。
あと、気分転換になると思ったんですが……。


── 雨も降りそうだし。電車も強風で止まっているみたいですよ……。

うーん、曇り空ですね。実は花粉症なので、この季節に外でインタビューをしようと思ったことを、ちょっと後悔しています……。


── 確かにkazuさん目が真っ赤ですよ。早めに切り上げましょう。インタビューに進んでもよろしいでしょうか?

はい、目が限界なのでインタビューに移りましょう。 あと、インタビューをするうちに、この場所を選んだ理由もきっと伝わるはずです。


── なるほど!それは楽しみです(笑)。第一回は「事業」にフォーカスしたインタビューでしたが、今回はシンプルに、kazuさんが目指す「理想のチーム像」を教えてもらいたいです!

はい、私は仕事を通じて「青春を送れるチーム」を目指しています。
具体的に言うと、メンバーのみんなが自分の人生を振り返ったときに、「Newbeesにいた頃は、辛いこともあったけど、それ以上に楽しかった。幸せだった」と思い出してくれるようなチームです。


── 時が経ち、いつの日か「大変だったけど、あの頃は楽しかったね」とシンミリと語る感じですかね。でも働いてる時は気づきにくいと思いますが…どうでしょうか?

確かにいつか自分の人生を振り返った時に、気づく感覚かもしれません。ただ私の中には、「仕事を通じた青春」の定義があるんです。


── どんな定義ですか?

「みんなで同じ目的、高い志を持ち、互いに協力をして実現していくこと」です。
同じ目的を達成するための共創、そこから派生する一体感こそが、私の中では「青春」です。この条件が揃えば、年齢や職位、働く環境に関係なく、仕事を通じて青春を送ることができるという考えです。


── なるほど、それなら少しわかる気がします!私も学生時代にバドミントンやバンドをやっていましたが、今思い返すと確かに青春と呼べる感覚がありました。その時に一緒に活動していた人たちとは、同じ夢を追いかけていたし、同じ高みを目指していました。

わかってくれましたか!嬉しいです。

Newbeeのメンバーが青春を送るために、私がやるべきことはフルリモート下にて「メンバー間で協力して、パフォーマンスを発揮できる環境作り」となります。そして私の脳内では、青春が送れる環境として「トキワ荘」をイメージしているんです。


── えっ、えっ、急に話が飛びましたが、トキワ荘が理想の環境なんですか?すみません、私はトキワ荘がわからないので詳しく聞かせてください…!!

はい、トキワ荘(注1)と言うと、マンガ界の巨匠達(手塚治虫氏、W藤子不二雄氏、赤塚不二夫氏、石ノ森章太郎氏 etc…)が若かりし頃に、夢を追いかけながら共同生活をしていたアパートとして有名だと思います。
マンガ(まんが道)、映画(トキワ荘の青春)など多くの作品の舞台となっているので、知っている人も多いはずです。
ちなみにmomoはトキワ荘を知っていますか?

注1:東京都豊島区南長崎にあった木造アパート。手塚治虫氏の仕事部屋があったことから若手マンガ家たちが集まりはじめた。著名なマンガ家が居住していた時期は1953年〜1962年頃となる。


── はい、名前はなんとなく知っています。ただ本当になんとなくです。昔の話すぎて…内容はよくは知らないです。

私は藤子不二雄Ⓐ氏の「まんが道」を見て、トキワ荘に興味を持った王道ルートです。「まんが道」はW藤子不二雄氏の自叙伝的マンガですが、作中でトキワ荘に住むマンガ家たちの夢や希望、成功や挫折、喜びや悲しみが、溢れんばかりの情熱で描かれているんです。


── 「まんが道」も名前は聞いたことあります。有名な作品ですよね。

ぜひ読んでみてください。昔の作品ですが面白いですよ。私は藤子不二雄Ⓐ氏の魅力は「弱さの描き方(注2)」だと考えていますが、その原点がわかる作品です。

私は「まんが道」の登場人物で、リーダーである寺田ヒロオ氏(通称テラさん)が好きなんです。他の住人達より先にマンガ家として活躍していた方で、トキワ荘のリーダー役として常に後輩の面倒を見てくれていました。困窮していればお金を支援してくれたり、落ち込んでいる時は励ましてくれたり、誠実で優しい、たくましいリーダーです。
もちろん「まんが道」はフィクションを交えた作品なので、原作者の藤子不二雄Ⓐ氏がテラさんを理想化している面もあると思いますが…。

注2:藤子不二雄Ⓐ氏は「魔太郎がくる」「笑ゥせぇるすまん」など弱者の視点で描かれた作品が多い。


── 確かにkazuさんの話を聞く限り、テラさんは理想のリーダー像ですね。

ただテラさんには不器用な部分も多く、児童マンガに拘りすぎたため、次第に時代が求めるマンガと齟齬が生まれてしまうんです。「愛…しりそめし頃に…」(「まんが道」の続編)では、成功する後輩達を横目に、挫折や劣等感に苛まれていたような描写もあったりします。そして最終的には筆を折り、マンガ家を辞めるという、悲しい展開となってしまいます(注3)。

注3:映画「トキワ荘の青春」で主人公のテラさんを演じるのは本木雅弘さん。テラさんの優しさと挫折が物静かに描かれた、切ない雰囲気の作品。


── テラさんの話はちょっと切ない感じですね。ただ主人公で映画化もされているということは、本当に魅力的な人だったんだと思います!
でもテラさんのエピソードと、kazuさんの目指す「青春が送れるチーム」と、どのような関係があるのですか?

筆を折ったテラさんは、次第にトキワ荘出身のマンガ家とも疎遠になったんですが、ある日突然、当時のメンバーを自宅に招待して宴会を開いたんです。それも1990年の話です。


── 1990年ですか…。私は生まれてないですけど、トキワ荘時代と比べると、めっちゃ最近ですね。

その時に集まったのはトキワ荘時代の後輩、藤子不二雄Ⓐ氏、赤塚不二雄氏、石ノ森章太郎氏、鈴木伸一氏(ラーメン大好き小池さんのモデル)、全員が歴史に名を残すマンガ家、アニメーターです。当時の宴会風景は、鈴木伸一氏が映像に残しているので、検索すればすぐに見つかると思います。
その時のテラさんの楽しそうな笑顔が本当に最高なんです。テラさんだけでなく、集まったメンバー全員が楽しそう。それこそ最初にお話した「辛いこともあったけど、それ以上に楽しかった。幸せだった」という表情をしていました。

おそらくトキワ荘には、良い思い出も悪い思い出もたくさん詰まっていて、それは宴会に参加した全員にとって「忘れられない青春の思い出」なのだと思います。私はその時、「あっ、この感覚が自分が目指したいチームに近い」とビビッときました。

トキワ荘から多くの巨匠が生まれた要因は、夢や成功、挫折を仲間同士で共有するカルチャーがあったからだと分析しています。もともと才能がある人たちの梁山泊だったけど、多忙な時に助けあう環境があったり(注4)、テラさんのように優しさと真面目さを備えた、気遣いのできるリーダーや、手塚治虫氏のような圧倒的な技術力を持つロールモデルもいる。そして、恥ずかしげもなく夢や理想を語れるカルチャーがあったからこそ、互いに刺激を受け、助け合いながら成長することができた。これが多くのレジェンド級マンガ家の輩出につながったと考えています。

業種も時代も違いますが、私はトキワ荘のカルチャーこそが「人が成長する環境」の本質を備えていると思っています。そう捉えると、人の成長には「青春成分」が欠かせないのです。

注4:トキワ荘のマンガ家同士で忙しい時に助け合う文化が、マンガ界のアシスタント採用やプロダクション制につながったと言われている 。


── なるほど、納得できる部分がどんどん増えてきました。トキワ荘を「成長できる環境」と捉えるのは、面白い発想です。そして私、気づいちゃいました…!

ふふっ、やっとお気づきになりましたか!この公園を選んだ理由。

── 私たちが今いる公園、トキワ荘が見えますね・・・(来た時からわかってたけど・・・)。

そう、ここはトキワ荘マンガミュージアム前の公園です。トキワ荘は2020年に博物館として復元されたのです。
何度も蘇り、語り継がれる。それがトキワ荘です。だからこそ、私はトキワ荘をリスペクトすることで「青春の思い出となるチーム」だけで終わらない、「歴史に残る仕事をして、いつまでも続くチーム」を実現したいのです。


── これはもうトキワ荘ミュージアムに突入するモードですね!もしかして予約とかしてありますか?

もちろん予約していますよ!インタビューの後に行きましょう。


── 嬉しいです!さすがkazuさん!ついでにもう一つ確認をしても良いですか?最後の質問です。kazuさんはNewbees版トキワ荘なら、テラさんですか?

テラさんは高潔な人なので、私とは違いますね。テラさんの晩年は少し切ないエピソードなんです。
藤子不二雄Ⓐ氏は「愛…しりそめし頃に…」の巻末インタビューで、以下のように語っています。

 後年、当時の仲間が集まって、テラさんの家へ遊びに行ったことがあります。
夜が更けるまで楽しく過ごして、おいとまする道すがら、振り返るとテラさんがいつまでもいつまでも手を振っている。
「なんだか最後のお別れみたいだね~」と言ってたら、翌日、奥さんから電話で「今日を限りに、寺田は外との接触を一切、経ちました」と連絡があった。
それから一年後に、テラさんは亡くなりました。
 よく「手塚先生がいなかったら、現代マンガの隆盛は無かった」と言われますが、テラさんがいなかったら、僕ら、トキワ荘から巣立っていったマンガ家たちの現在も無かったんじゃないか……そう思います。

愛…しりそめし頃に…」3巻・巻末付録「テラさんからの手紙」より

私は「止める」ことはできても、「諦める」ことはできない立場だと認識しているため、テラさんとはやはり異なると思います。

また、「成長成分」や「理想」だけでは会社は成り立たず、チームとして利益を追求し、メンバーに報酬として還元することが何よりも重要だと私は考えています。利益の追求という軸がブレてしまうと、いくら頑張っても「幸せな思い出」にはならないはずです。不幸なメンバーを出さないためにも、利益が出るトキワ荘を維持する必要があります。

── 確かに!バシっとまとめていただきありがとうございます!
kazuさんの「仕事を通じた青春」に対する、熱い思いをたくさん聞けました。若干、フィクションっぽい展開の記事になってしまいましたが「トキワ荘のカルチャーに人が成長する環境の本質がある」は私も共感できました。
本日はありがとうございました。さあ、みんなでトキワ荘に入りましょう!

最後に「トキワ荘のような青春を送れるチーム」は、あくまで私個人の想いです。Newbeesという組織は、対話・挑戦・貢献というVALUES、「テクノロジーで幸せを創り出す」というPURPOSEがあるので、私はそこにトキワ荘を重ね合わせてみました。あと「いい思い出だった」だけで終わらず、「また戻りたいな」と思った時に戻れるのもNewbeesの魅力です。いつでも戻れる場所、それがリモートワーク&クラウド時代のトキワ荘ですね。


── インタビュー後、kazuさん、HRスタッフ、デザイナースタッフ、みんなでトキワ荘を見学、その後はマンガ界の巨匠たちが足しげく通っていた「
松葉」さんという街中華に行きました(なんと小池さんが食べているラーメンこそが「松葉」のラーメンということです!)。
懐かしく、心から温まる味、トキワ荘のマンガ家達に愛されたのも理解できます。そして安い(ラーメン一杯600円)!

マンガの神様達が青春を送った場所でのインタビュー、会社からさほど遠い距離ではないけど非日常的な景色、採用活動という同じ目的の中で集まったメンバー。もしかしたら私自身も、いつか自分の人生を振り返って、今日を「いい思い出だったな」と想うかもしれません。

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