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私が人に仕事を頼む上で、大事にしている事

「何故人は、絶対に自身の頼みを聞いて欲しい時こそ、高圧的になってしまうんだろう。」

これは学生時代、憤怒するクラス委員長を見ながら、疑問に思ったことです。
今思えば、その頃から、既にハンドリングの感覚が、芽生え始めていたのだと思います。
私はディレクターの中でもかなり特殊であろう、人の教え等無しに、無意識にディレクションが出来ていたタイプです。
なので、出来るようになったきっかけや理由を聞かれると、結構難しい。
ですが、ハンドリングのスキルのみ、あの出来事から学んだな、と思い出せるきっかけが、学生時代にいくつもあります。

今回は、そんなハンドリングの基盤が培われた学生時代の経験を踏まえ、私が人に仕事を頼む上で心掛けていることをお話していこうかと思います。



"指図"をしない、"お願い"をする

私が小学校の頃、宿泊行事で、室長を務めた際の事です。
当時の私は、ホテルの部屋に入ったら、まずはメンバー全員で確認しなければならない事があるよ、と事前に先生から説明されていました。
室長を務めている責任感を強く感じていた私は、そのタスクを早く完了して、先生に報告しなくちゃ、と焦っていました。
そうして、同じ部屋のメンバーにあれやって、これやって、と指示を出していた時の事です。
「指図しないでよ!」と、同じ班の友人から怒鳴られ、ハッとしました。
人は指図をすると怒るんだ。
友人を怒らせてしまったショックよりも先に、その事実に気付き、驚きました。

ここで、先生からやれって言われてるんだから、やってよ!と言うのは簡単です。
ですが、それでタスクの処理が円滑に進むのか、というと、そんな事はありません。
そう考えた結果、1番効率が良いのは、多少へりくだってでも、タスクの処理をメンバー達に"お願い"することでした。

相手に仕事をこなして欲しい時こそ、丁寧にお願いをする。
小学生の私は、その結論に辿り着きました。
後、自身が指示をされる側になると分かる事ですが、指図をすると、雑に扱われている感じがするんですよね。
雑に扱ってくる相手に、丁寧に返そうとは思いにくい。
だからこそ、最初に丁寧にお願いをすれば、相手も自ずと丁寧に返してくれる可能性が高くなります。

人は、やりたい事を頼んだ方が動いてくれる

次に気付きがあった出来事は中学生の頃の話。
私は文芸部に所属しており、全校生徒の前で演劇を披露する、という行事が控えていました。
私はその行事の為に脚本を書き、その上で舞台監督や演出も全て兼任している取り纏める立場だったのですが、困ったことが一つありました。
それが、やる気のない部員の存在です。
セリフを覚えてきてくれない上に、練習も面倒臭がっており、彼女をどうにかしないと、この舞台を成功させることは出来ないな、と考えました。

この時、頭ごなしにやってよ!と怒る事だけは絶対にしませんでした。
正直、この舞台を成功させるぞ!という意欲がない人間にとって、本番までの練習に時間を費やす価値なんて無いのだろう、と分かっていたからです。
部員だから参加せざる終えない、という義務はありますが、その義務で人が動く訳では無い。
ならば、彼女にとって、この舞台に出る価値があれば、自分から練習してくれるだろう、と私は考えました。

そこで彼女に「劇中で、バク転をしながら登場してくれ」と提案しました。
彼女は幼い頃からチアリーディングをやっており、いつもアクロバットが得意な様を私達に見せていました。
それならその特技を、この舞台で見せて欲しい、と提案したのです。
すると、あんなにやる気の無かった彼女は即OKを出し、セリフも覚えてきて、練習にも意欲的に参加するようになりました。
全ては観客達の前でバク転がしたいから、それだけなのです。

ここで学んだのが、やりたくない事をやらせるより、それを相手にとってやりたい事にしちゃう方が楽、という事です。
動いてくれない人に労力を働かせるのが嫌だと感じる人もいるかもしれませんが、広い目で見れば、そうする事が1番効率的です。
一緒に仕事をする相手が選べない状況で、企画進行をやらなければいけない場面であれば、この考え方は、結構役に立つんじゃないかと思っています。

何故、ここまでして相手に気持ちよく仕事をさせようとするのか

2つの話をまとめると「その人がやりたくなる様にお願いをする」という事が、人に仕事を頼む上で、1番大事なことです。
そんな下手に出てお願いしなきゃいけないの?と思う方もいるでしょう。
ですが、私の達成したい目標は、そのプロジェクトの完遂であり、成功です。
「プロジェクトを完遂する為なら、プライドは捨てる。」
「そして、相手がどうやったらこの仕事をやりたくなるか考える」
これが、私が23年生きてきた上で出た、人を上手く動かすテクニックです。

この考え方は、現在クリエイターに仕事を頼む時でも非常に役に立っています。
相手が気持ちよく仕事が出来る事で、良いものが上がってくる確率が、格段に上がるのです。
クオリティの高いものを出して貰いたいなら、相手に気持ちよく仕事をしてもらう。

この考え方を知り「クリエイターにリスペクトを持って仕事をしている姿勢に信頼ができる、是非一緒に仕事をさせて欲しい」と、また別のクリエイターさんから声をかけてくださる事も増えました。
下手に出て損しているように見えて、圧倒的に得をしていると思います。
今後も、この考え方を大事に、クリエイターさん達と仕事をしていけたら、と思います。

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