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虹色の光

秋の気配を少し感じた9月の某日、実家の空き家管理に桜島フェリーを乗り継ぎ帰省した。快晴で海は穏やかに見えたが、最上階(3階)の甲板に上がると帽子が飛ばされそうになり、思わずそれを右手で押さえた。
桜島が悠然として青い空とのコントラストが美しかったので、スマホで写真をパチリ。

桜島

2時間後、目的地に着くと庭の雑草が出迎えてくれた。何か良い対策はないものか‥
亡祖父の敷地は雑草の勢いが凄まじく、まるで育てているかのように一面に広がって長く伸びていた。この有り様に草取りのやる気が起きるはずもなく、ただ「はぁー」と溜息が出た。

翌朝早起きの夫は、通り道と屋敷神様の周りの草払いを済ませていた。
刈り取られた雑草を見て、澄んだ空気を思い切り肺に入れ込むと清々しくなり活力が湧いて来た。
今回はこの程度にして、午後2時頃ちょっぴり切なさを感じながら、誰もいない実家を後にした。

自宅に帰ってから、夫が草払いをした時の写真を2枚見せてくれた。
その中の1枚をよく見ると、斜めに綺麗な虹色の直線の光が天と繋がるように写っていた。
『あの辺りに鉄線でもあったかなぁ、陽の光の反射だろうか』

①     虹色の光が天に伸びている

同じ方向を何秒か後に撮ったもう一枚には、光などなかった。早朝6時頃で陽はまだ高くないし、虹だとしたら半円だろうし、と幾度もその2枚を見比べては首を傾げた。

②    何秒か後①と同じ方向を撮影

夫は「逆光だったからかもしれない」と言いつつも、腑に落ちない様子だった。
18年前、甥が卒園記念として幼稚園から贈られた記念樹の金木犀がある。その辺りから光が放たれたように見える。もうKちゃんも社会人になったのか、とあれこれ考えていると、あることが脳裏に浮かんだ。よし、次回の帰省時に確かめてみよう。

その1ヶ月後、心弾む気持ちで金木犀の近くへ行くと、その真後ろに屋敷神様が鎮座されていた。
『やっぱりそうかもしれない、光は丁度この辺りから発せられている』
きっと、いつも草払いをしてくれる夫に『ありがとう』のメッセージをくださったのだと思った。お酒と水をお供えし、感謝を込めて合掌をした。

屋敷神

今日も素敵な1日だった。

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