見出し画像

自然発酵 奄美の酵素飲料

夫の転勤で奄美大島に夫婦で転居したのは13年ほど前になる。
引越して間もない頃、島内の大型スーパーに行くと、飲料コーナーの一角に『奄美のしずく』という酵素ドリンク100mlが陳列してあった。その傍には、女性社長さんの顔写真と商品開発の経緯が書かれた新聞記事の切り抜きも貼られていた。

社長さんは何年も体調がすぐれず、大学病院等で診てもらったが、原因不明だった。そこで療養のため、家族で郷里の奄美に転居し、島の山野草と黒糖で酵素飲料を手作りした。それを飲み、元気を取り戻したことがきっかけで商品化に至った。

以上のような記事だった。


私は疲労が蓄積していたため、この酵素ドリンクを1本試しに買うことにした。
この発酵飲料の黒糖は、白砂糖のように綺麗に生成され、全てがそぎ落とされていないため、ミネラルが豊富に摂れる。更に、身体への負担も少ないと思った。
また、南の島の山野草にはパワーがあるだろう、とあれこれ考えた。

レジを済ませると待ち切れず、店の片隅に急いで移動し、それを一気に飲み干した。初めての味は、想像していたより飲み易く、また飲みたいと思った。
そして漠然と、新聞記事の60歳代らしき社長さんに会ってみたいと思った。

それから何日も経たないある日、職員住宅から歩いて5分ほどのパン屋さんへ行った。
パンの他にも奄美特産の黒糖で煮た生姜の佃煮、落花生や大豆に黒糖を絡めたお菓子も並んでいた。先日、飲んだ酵素ドリンクもあり、郷土色豊かなお店だった。
パンを選んでいると、年齢の近そうな二人のご婦人の会話が耳に入った。

「先生、これを飲むと身体が喜ぶ感じです」

「そうですか、それは良かったです」

それを聞いておもわず、先生と呼ばれている方は、あの時の新聞記事の社長さんかも、と直感が働いた。
話し込んでおられる所に割って入る訳にもいかず 、買い物を済ませ二人の会話が終わるのを待つことにした。
そうこうしているうちに、先生が一人になられたので近寄り話しかけた。

「あの、酵素飲料の社長さんでしょうか」

「そうです」

「やっぱり、良かった。少しお話しをしても良いですか、お時間は大丈夫でしょうか」

「はい」

「ありがとうございます」

こんなにも早く願いが叶うとは、何かに引き寄せられているようだった。

「酵素は身体にどういった働きをするのですか」など、幾つかの質問をした。

すると「近々、会社の総会があるのでいらっしゃいませんか」とお誘いを受けた。

何日かして総会に行ってみると、関係者の方々が10人ほど集まっておられた。場違いだと恐縮したが、促されるままに椅子に腰かけた。
少し離れた場所で高齢のご婦人が、車椅子に腰掛けておられたので軽く挨拶をした。

「この子は小さい頃から、この植物は何という名前なの、とよく訊いていたんです」

この子って、とピンとこなかった。しかし、そのご婦人の優しい眼差しが一瞬社長さんの背中に向けられたので、そういうことだったのか、と理解できた。
その微笑ましいエピソードに、社長さんは聡明な少女だったのだろうと想像した。

会が始まる前に、初めて知る酵素飲料の900mlの原液を飲ませて頂いた。山野草、果物、海藻、キビ酢、黒糖が入り原液で飲むと、かなり濃い感じがした。
『これは医薬品ではなく食品です。濃いと感じた人は、自分好みに2倍でも3倍でも薄めて構わない』と説明を受けた。
薄めてある希釈済みの100mlの瓶入りの商品は、二日酔いが感じられない人も多いそうだ。

現在は商品名が『天美草』
原液720ml

また、酵素飲料は上澄み液を使用するが、下層に残った液体は『パッティング用』として使用されていた。
パッティングとは、はてさてなんだろうか、未知の世界が繰り広げられるような好奇心を覚えた。
それから会社の内部の話しは分かる筈もなく、大人しくしていると時間は過ぎ総会は終了した。
部外者を招待し、酵素の良さを教えてくださった事に感謝し総会の場を後にした。

後日、初めてのパッティングに出かけた。部屋に入り施術用ベッドに仰向けになると、やや肌寒いくらいで体感温度は23度前後、湿度も低く抑えてあった。このことは重要なポイントだった。
まずは酵素を顔に塗り、5本の指先で顔を軽くトントンと叩いてもらうと、老廃物のような物が皮膚から出てきた。

「これを見てください」

「わぁ、何ですかこれ」

先生(社長)の指先に付いている、灰色の粘土のような物を見せてもらった。それから繰り返しパッティングをし、指先の老廃物をペーパータオルで拭き取りながらの施術だった。
後はホットタオルで拭き、更に仕上げの蒸しタオルをすると、実に気持ちが良かった。化粧水を付けて顔は終了となった。

次はうつ伏せの状態で、背中や腰に酵素を塗り、同様にパッティングしてもらった。30分ほどの間に、老廃物が両肩や腰からたっぷり出てきた。
老廃物とは、古い酵素が皮膚から出てきた物らしい。たまに、用済みの湿布薬を剥がすような若干の痛みを伴った。
しかし、背中に乗せた最後の蒸しタオルは、至福のひと時だった。

「ハーッ」と息がもれた。

「気持ちがいいですねー」

このまま眠ってしまいたい衝動に駆られたが、ゆっくり起き上がると、スッキリして身体が軽くなっていた。
こうして初めてのパッティングを終え、足取りも軽く上機嫌で家路についた。

断食とまではいかないが、酵素飲料を飲みながら行う『プチ断食』もある。

1日分
水500ml+酵素飲料65ml
これをペットボトルで4本作る

ペットボトルのプラスチックが気になる人は、ガラスの麦茶ポットで作れば良いと思う。
最近の様々な激しい変化が起きる中、たまにはプチ断食も試してみたいと感じている。
正に『Green Energy  』から沢山の力を得られる、と感じている人は少なくない。
そんなことを考えていると、25年ほど前のことを思い出した。

「南の島の植物は、活性酸素除去能力が高いらしい」と私が言った。

「それは、強い日差しに負けない力があるからだろうね」すかさず中学生の次男が反応した。

息子に言われ腑に落ちた、他の3人もそうだっただろう、5人家族の一家団欒の一コマである。
その時は、南の島の植物に縁があろうとは思いも寄らなかった。

実際に奄美に住んでみると、蓬の濃い緑や大きな葉には驚嘆した。天に向かって力強く繁る照葉樹林も見事だった。
そのような風土で生まれた『天美草』は、私好みの味で今でも愛飲し、身体が喜ぶ大切な物の一つになっている。            

よろしければ、是非サポートをして頂きますようにお願い致します。 貴方のサポートが、大変励みになります。良い物が作れるように、色々な経費にしたいと思っています。