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カバラ物語 第五章 ぼくの善と美 #8「高貴すぎる男」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第五章

ゴミ収集車の男は古いアパートメントに入っていく。エレベーターはなく、石の階段を四階まで登っていく。黒いマントの男は少し後から階段を登っていく。ゴミ収集車の男は角部屋のドア穴に大きな鍵を入れると扉を開いた。そして黒いマントの男に中へ入るように促す。

黒いマントの男は部屋に入る。60平米ほどの広さの部屋は見事なアンティーク調度品で飾られている。黒いマントの男はマントを脱ぎ、座り心地の良いソファに座る。テーブルの上にはまるで黒いマントの男の来訪が予定されていたかのように、豪華なティーセットが二組セッティングされている。

ゴミ収集車の男はキッチンからワゴンを押してやってくる。ゴミ収集車の男は完璧なマナーでティーポットからティーカップに紅茶を注ぐ。たちまち芳しい香りが部屋中を満たしていく。ゴミ収集車の男は紅茶を促す。黒いマントの男は一口紅茶をすすると、思わず唸った。

「こんな美味しい紅茶は飲んだことがない」

ゴミ収集車の男は優雅に微笑み、うなずいた。

「この紅茶は女王陛下から賜ったものですから」

ゴミ収集車の男は年に数回、女王陛下とお茶を飲む友達なのだと言った。黒いマントの男はそれも当然だとうなずいた。この部屋のセンスを見ただけで、ゴミ収集車の男がただものではないことがわかるからだ。

黒いマントの男は尋ねた。

「ところで、あなたのご職業は?」

「ゴミ清掃業です。仕事は半日で終わるから自由な時間がたくさんある。とても気に入っています」

ゴミ収集車の男は大学を優秀な成績で卒業した。社会的にステータスのある資格も持っている。しかし朝から夜遅くまで仕事をすることを嫌い、ゴミ清掃業に就職した。

ゴミ収集車の男は面白そうに笑った。

「私がこの仕事を選んだとき、何が起きたと思いますか?」

黒いマントの男はわからないと答えた。

「妻が離れていきました。ゴミ清掃業の夫を持つのは耐えられないと言ってね」

男は一方的に離婚を申し立てられたという。

「家族を失いましたが、この自由は何ものにも代えがたい」

黒いマントの男は言う。

「私はあなたほどの高貴な方にお会いしたことはありません」

ゴミ収集車の男は優雅に紅茶を飲む。その美しい姿に見惚れる黒いマントの男。この上なく優雅な時間を過ごす。

…#9へつづく。

◆現在公開中の連載はこちらからまとめてご覧いただけます。

​誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
秘密はここに。



◆連載小説「ユニバーサル・カバラの物語」が本になりました。

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モダンミステリースクール 形而上学BOOKシリーズ
「カバリスト ぼくの成功物語」〜永遠の生命の木の謎〜(上巻)
イプシスマス・中込英人 著 税込2,500円

物語の裏に秘められた神秘の教え「カバラ」の奥義を解き明かす解説つき。カバラを学ぶ人、そして真理を探求する人に必携の一冊です。


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制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。
中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』『カバリスト ぼくの成功物語』

谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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