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Chapter 3 首相歓迎テロ-3

 救急車で最初のホテルまで送ってもらう。爆発が起きて30分も過ぎたころに警察と陸軍の爆発物処理班(EOD)が到着、現場検証を始めた。警察無線からは、「水色のシャツで半ズボンの男を追跡中」といったやり取りが聞こえてきた。

EODの姿を写真に撮っていたら、見たことのある警官が行き来していた。何年か前に同行取材したコマンドセンターの警官。声をかけると最初の返事が、
「おお、日本人。オレも新しいカメラ買ったよ」
と、手に持っていたカメラを自慢だった。彼はコマンドセンターの任務として爆発物処理も行うが、たいていは記録取りを担当している。今夜は全部で4カ所あったから、一通り回って見ろという。

「首相が南に下りてきていたから今日はあると思っていたんだけど」
「要人が来るということで警戒が厳しくなって、爆弾を使うに使えず溜まっていたらしい。首相が帰った後に警戒が緩んだんで、全部使い切ったんだろう」。
爆弾は使うから作るのではなく、作ったから使うのだろうか。EODが現場検証を終えて、引き揚げはじめる。コードがちぎれて転がっていた受話器を持って帰ろうかと思っていたら、EODが最後に拾っていってしまった。

現場検証する警察EOD

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