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利用されるイスラムという宗教 Chapter 1 首相歓迎テロ-1

 2013年4月7日。毎年4月13~15日はタイ正月(ソンクラン、水かけ祭り)。前後の週末を含め、タイは全国的に大型連休となる。南部国境県では毎年この時期になるとテロが警戒されるが、これまでの流れを見返す限り、タイの暦に合わせてテロが行われることは少ない。むしろイスラムの暦を把握していた方が、テロ発生を予想しやすい。タイの暦でテロ発生のパターンを読み解くならむしろ、大型連休の前がポイントとなる。

 日本から定期的に南部国境県の取材に訪れる知り合いのカメラマンが、3月下旬から現地入りしていた。彼は日本在住のカメラマンとして唯一、南部国境県のテロを何年も追う日本人。ソンクラン前でそろそろ大きなテロが起きる、小規模でも散発的に何日も続く、という予想どおり、彼が現地入りしてからテロが起き始めた。

 ただ、狭い地域といえども日本の岐阜県ほどの広さはあるので全てを網羅できない。たいていは、どこに行くにも均等な距離で動きやすく、町中では無差別な爆破テロが頻発するヤラー市を取材拠点にするわけだが、テロがパッターニー県の海岸側やナラーティワート県の山間などで起きたら、現場に着くまでに治安部隊の現場検証は終わっている。彼もヤラー市にいながら、各地で散発するテロの取材に間に合わず、「全て外している」とへこんでいた。

ヤラーを訪れて負傷者を見舞うインラク首相

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