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8月15日に安重根記念館を訪ねて

日本の仕事を休んで韓国・ソウルに来てから、早いもので半年が経とうとしている。気がつけば帰国まであと1カ月。矢のように流れていく時間の中で、記録したものを時系列を無視してはき出していこう。

8月15日にソウルにいるのだから、と、ソウル・南山の中腹にある「安重根義士記念館」を訪ねた。

おそらく最初の訪韓だった1993年以来の訪問。建物は改築され、4階建ての豪華な展示施設になっていた。

さほど混んでもいなかったが、とにかく子連れが目に付いた。

先日の世論調査では日韓併合1910年、植民地支配からの解放1945年を正確に答えられない人がもはや韓国でも多数派だというから、「光復節」の祝日ぐらい歴史教育をして抗日の英雄に罪滅ぼしを、という趣旨だろうか(想像)。

さて、展示のクライマックス、ハルピン駅での伊藤博文銃撃場面を再現した人形を見ていると、100年以上の時空を超えて先日の安倍元首相銃撃事件に重なってしまう。別に銃撃犯を英雄視するつもりは毛頭ないのだが、

・上海や満州に独立運動(独立維持運動)の拠点を移した安は、父の死や賛同者が思うように集まらないなど苦労が重なり、精神的に追い詰められて徐々に活動が先鋭化していく。

・そんな中、伊藤博文訪中の知らせを受け、仲間と分担して鉄道駅に先回りするが、別の駅で待ち伏せた仲間3人はロシアの官憲に気づかれて未遂に終わる。しかしハルピンで単身待ち伏せた安は、信じられないほど手薄だった警備をくぐり抜け、あれよあれよという間に、いとも簡単に銃撃に成功してしまう。

など、背景や現場の光景に共通点を感じてしまうのだ。

大物政治家の突然の死で、銃撃の目的を超えて政治が漂流を始めるところも。皮相な言い方をすれば「歴史の皮肉」なのだろうけど、どうもこの2つの事件は、見えない力が2人の中年男性をたぐり寄せて、歴史の運命の谷間に引きずり込んだように思えてならない。

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