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なぜDSDsを持つ人々を使って「男女だけじゃない」というのは #人権侵害 なのか?

 いまだに「インターセックスの人もいるから,男女の区別はない・境界はない・男女だけじゃない」という言い方が,様々な本やアカデミズムでもされていることがあります。

 ですが,こういう言い方は,現在では人権侵害になるのです。

 なぜ人権侵害 になるのか? 簡単に説明していきましょう。

 まず,そもそもDSDsとは,生まれつき子宮や膣のない女の子や,尿道口の位置がずれた状態で生まれる男の子,性器の形が違う女の子や男の子など,女性(female)・男性(male)の様々な体の状態 の話で,決して「ジェンダー」や「性自認」の話ではないこと。


 さらに,DSDsを持つ人々の大多数が,自分を「男女以外の性別」とみなされたいとは全く思っていないどころか,そういうイメージ(両性具有イメージ)こそが,DSDsに対する偏見になっていること。


 しかも,DSDsの当事者の大多数は,ジェンダー学者さんがよく言う,性別を男女の2つに分ける「男女二元論」を崩したいとも全く思っておらず,これまでの「両性具有」のようなファンタジーではない,現実のDSDsを持つ人々の実際が明らかになってきたからです。

DSDsの当事者の大多数はジェンダー学者さんの言う「男女二元論」


 現実には,DSDsを持つ人々は,生まれつきの体の一部の違いだけで,「男でも女でもない」という社会の偏見から,自分の女性・男性としての尊厳を傷つけられている人なのです。

そういった人々の,極めて私的でセンシティブな領域であるはずの「性器」「生殖器」の話だけを取り上げ,当事者の皆さんの望みとは全く逆に,「男女の境界はない」「男女だけではない」とするのは,当事者の人々からはどのような体験になるか,想像力のある方ならすぐに分かると思います。


 ある女性・男性の体つきや容姿を取り上げて,「女のようだ」・「女に見えない。男のようだ」と考えて,「この世は男女だけではない」とすることや,がんで子宮や卵巣を失った女性や,事故で性器を損なわれた男性の身体だけを取り上げて,「男女の境界はない」なんて酷いことは言わないですよね。

 それはまさに人権侵害に他なりません。

 それをまさか,「性器だったら大丈夫だ」なんて思わないですよね。

 もっと酷い人権侵害になるのです。

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