短歌まとめ 2022.12

ゆっくりと落ちる箱庭そうやって悲鳴を出せば許される がたん

売り物は尽きて汚れた魂も叩いた時はいい音が鳴る

心には穴が空いたりしないから胸を押さえて泣く理由もなく

はなれ、ばなれ。鈍行列車はもう来ない。私に似合う曇のち雨

口笛が聞こえて遠い流刑地の烏の羽の黒、麗しき

愛を食う心と肉を食う口のピンク 死体と春待つ桜

綺麗だね、月。死のうかな、明日。ねぇ、お前より少しWi-Fiが好き。

動かないダーリン・イン・ザ・ベッドルーム 真っ暗闇で愛してあげる

人なんか一人もいない地下室に絡まった髪 このひとでなし

あばら家の落伍者ゆらぐ1/fの残渣と密やかな夜

水底の少年Eに届くため霙に溶けたクリスマス・キャロル

果実には蟻が集って化膿するアダムとイブがこっちを見てる

お祝いのメッセージですいつまでも見ててあげます 笑むパラサイト

パレードの最後尾だよ君の席 そこで小石を蹴っていなさい

愛されに愛されちゃってどうしようどうしようもなく俯瞰視点

今度こそ人に産まれてきたかったお一人様用磔柱

絡まった金鎖が歌っている 全て頭痛は低気圧のせい

プディングはふるふる揺れる水槽に浮かべたままの脳を忘れて

街中に響き渡った賛美歌が溝鼠から居場所を奪う

シクラメン、いつまで咲いているつもり?答える口の無い私達

燃え尽きた星から君を攫ったの!私の背中をサイレンが刺す


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?