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Norah Jones / Feels Like Home (2004)

デビュー・アルバムが驚異的なセールスを上げ、グラミー賞主要4部門を独占するなど破格の成功を収めたノラ・ジョーンズ。
待望のセカンド・アルバムは、前作のジャズ寄りの作風からカントリーやフォークなどの後の”アメリカーナ”的なルーツ音楽からの影響も色濃い作風へと緩やかなシフト・チェンジがなされている。

ジャケットは前作の都会の夜を思わせる雰囲気から一転、春の陽光を感じさせるものへと変わり(ライナーノーツにも同じことが書かれてた…)、彼女が敬愛するザ・バンドからレヴォン・ヘルムとガース・ハドソンを迎え、カントリー界の大物ドリー・パートンと共演し、お気に入りのトム・ウェイツのカヴァーをし、デューク・エリントンの曲に詞をつけ、ピアノ弾き語りだけでなくギターの音色も麗しいバンド演奏を楽しみ、肩の力が抜けた自分なりの自由な音楽活動を楽しんでいる。

自身のバンドであるザ・ハンサム・バンドとスペシャル・ゲストによるリラックスしながらも芯の通った演奏と、ノラのナチュラルでスモーキーなヴォーカルが相変わらず心地良く、温かみと安心感があって、タイトルのとおり家にいるような、ゆったりとした感覚が味わえる。

前作に続いて大御所アリフ・マーディンとノラ自身によるプロデュースだが、作られた音ではなく、あくまで自然体の音を大切にしている印象。




よく晴れた休日の昼、コーヒー片手にゆったりと聴くのに、これ以上相応しいアルバムはないかもしれない。
音楽界随一のカジュアルなアーティストによる、カジュアルな作品。

前作はブルー・ノートのかしこまった雰囲気の中に彼女らしいナチュラルな魅力をたっぷり含んだ名盤だったが、全世界待望の2作目では、コンサート翌日の緩く穏やかな休日のようにリラックス・ムードの中で伸びやかな歌声を聴かせ、他人の評価などには目を向けず、商業意識も皆無な、ただひたすら自らの音楽愛に溢れたレコードとなっている。

彼女の歌声は、タイムレスな価値と魅力を持ったものなのだと、聴くたびいつも実感する。

デビュー作が売れてなくてもこれを作ったんだろうな。

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