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小説「転職王」第四話 モンド物流

モンド物流に入社後、佐藤健二は経営企画室の主任である秋山 楓と出会いました。彼女は5歳年上の35歳で長崎出身でした。
秋山は佐藤に3PLの各業務現場を案内しました。

※3PLとは、3rd Party Logistics(サード・パーティ・ロジスティクス)の略称で、荷主企業に代わる第三者(サードパーティー)として、ロジスティクスを設計・提案し、包括的に受託する事業形態のことを言います。

秋山楓(笑顔で):「佐藤さん、モンド物流へようこそ。私は経営企画室の主任、秋山楓です。」

佐藤健二:「秋山さん、はじめまして。佐藤健二です。こちらこそ、よろしくお願いします。」(初めての仕事だし、緊張するなぁ)

秋山楓:「佐藤さん、これから3PLの各業務現場を案内しますが、何か特に興味のある分野はありますか?」

佐藤健二:「うーん、正直言って、まだ物流の世界には疎いので、どんな業務があるのかもよくわかりません…。」

秋山楓(にっこり):「それなら、まずは基本的な業務から順番に見ていくのがいいでしょうね。じゃあ、最初に輸送業務の現場から見ていきましょう。」

物流現場

輸送業務の現場

秋山はまず、佐藤を輸送業務の現場へ連れて行く。陸上、航空、海上輸送の違いや、貨物の積み込みや搬送の工程を見学し、佐藤は物流の世界の複雑さに驚く。

佐藤健二:「陸上、航空、海上輸送って、それぞれ違うんですね。」

秋山楓:「そうなんです。それぞれの輸送方法には、利点と欠点がありますから、適切な方法を選択することが大切です。」

佐藤健二(興味津々):「陸上、航空、海上輸送それぞれの違いって具体的にはどんなところなんですか?」

秋山楓:「それぞれの輸送方法には、速さやコスト、輸送量などに違いがあります。例えば、航空輸送は速さが売りですが、コストは高くなります。一方、海上輸送は輸送コストが低いですが、時間がかかります。陸上輸送は、国内の移動に適していて、トラックや鉄道を利用します。」

佐藤健二:「なるほど、それぞれの輸送方法によって、適切なケースがあるんですね。」

秋山楓:「そうなんです。また、貨物の性質によっても適した輸送方法が変わります。例えば、冷蔵や冷凍が必要な商品は特別な設備が必要になりますし、危険物は輸送方法やルートが制限されることもあります。」

佐藤健二:「それは考えたことがなかったです。物流って、本当に奥が深いんですね。」(驚いたなぁ)

秋山楓:「ええ、実際に現場を見てみると、物流の奥深さを感じることができます。それに、お客様の要望に応えるために、柔軟に対応できる輸送方法を提案することも重要です。」

佐藤健二:「お客様の要望に応えるために、物流業界は日々進化しているんですね。これから、どんな業務に携わっても、その奥深さを忘れずに取り組みたいと思います。」

秋山楓(笑顔で):「そういう姿勢が大切ですね。物流の世界は奥が深いですが、一つ一つ学んでいくことで、きっと素晴らしいスキルを身につけられると思いますよ。」


倉庫・保管業務の現場

次に、秋山は佐藤を倉庫・保管業務の現場へ案内する。在庫管理や棚卸し、商品のピッキングや梱包・出荷作業を目の当たりにし、佐藤はこれまで見えなかった物流の裏側に興味を持ち始める。

佐藤健二:「倉庫や保管業務の現場ってどんなものなんですか?」

秋山楓:「倉庫業務は、商品の保管や管理、出荷業務を行うところです。倉庫内では、商品の種類や性質に応じて適切な保管方法が求められます。」

佐藤健二:「どのような保管方法があるんですか?」

秋山楓:「例えば、温度管理が必要な商品は冷蔵・冷凍倉庫で保管しますし、大型商品や重量物は特別な保管スペースが必要です。また、商品の回転率に応じて、適切な保管レイアウトを設計することも重要です。」

佐藤健二:「倉庫内のレイアウトも考慮しないといけないんですね。」

秋山楓:「そうです。レイアウトの工夫や最適化によって、効率的な作業ができるようになります。また、在庫管理も重要です。適切な在庫量を把握し、過剰在庫や品切れを防ぐために、入出荷の情報管理が求められます。」

佐藤健二:「物流って、本当に細かいところまで気を使うんですね。」(ということは色々工夫する余地がありそうだな)

秋山楓(うなずきながら):「物流業界では、お客様のニーズに応えるために、日々改善が求められます。倉庫・保管業務も、その一環です。」

佐藤健二:「次に、荷役や運搬業務について教えてください。」

秋山楓:「荷役や運搬業務は、商品を効率的に運ぶために重要です。荷物を運ぶ際に、適切な機器や手法を使い、商品を保護しながら運ぶ必要があります。」

佐藤健二:「具体的にどのような機器が使われているんですか?」

秋山楓:「フォークリフトやハンドリフト、パレットトラックなどがよく使われます。また、コンテナの種類や形状に合わせた荷役機器も必要です。」

佐藤健二:「機器の使い方も覚えないといけないんですね。」

秋山楓:「そうですね。正しい使い方や安全対策を守ることが大切です。また、運搬ルートの最適化も重要な要素です。効率的なルートで商品を運ぶことで、輸送コストや時間を削減できます。」

佐藤健二:「物流って、本当に多岐にわたる業務があるんですね。」

秋山楓(うなずきながら):「物流は、経済活動を支える重要な業務です。お客様の期待に応えられるよう、日々改善し続けることが大切です。」

佐藤健二(意気込んで):「まだまだ学ぶべきことがたくさんありそうですね。すごく楽しみになってきました。」(退屈しなそうだ)

秋山楓(笑顔で):「その姿勢があれば、きっと素晴らしい成果が得られるでしょう。一緒に成長しましょう!」


物流システムの設計・運用の現場

さらに、秋山は佐藤を物流システム運用の現場へと案内する。

佐藤健二(興味津々):「さて、物流システム運用の業務についても教えてください。」

秋山楓:「物流システム運用は、情報システムを活用して物流全体を効率化する業務です。在庫管理や配送スケジュールの最適化、リアルタイムでの情報共有などが含まれます。」

佐藤健二:「どのようなシステムが使われているんですか?」

秋山楓:「さまざまなシステムがありますが、一般的には、WMS(倉庫管理システム)、TMS(運送管理システム)、ERP(統合業務システム)などが使われています。これらのシステムは、それぞれの業務に合わせてカスタマイズされ、組み合わせて利用されることが多いです。」

佐藤健二:「導入や運用が大変そうですね。」

秋山楓:「確かに導入や運用にはコストや手間がかかりますが、最適なシステムを導入することで効率化が図られ、最終的にはコスト削減につながります。」
佐藤健二:「なるほど、情報システムをうまく活用することで、物流業務をスムーズに進めることができるんですね。」

秋山楓(うなずきながら):「その通りです。しかし、システム運用にはセキュリティ対策やトラブル対応も重要です。お客様の情報を扱うので、情報管理には細心の注意が必要です。」

佐藤健二:「セキュリティやトラブル対応も含め、物流システム運用の業務は奥深いですね。これからも勉強し続けなければいけないと感じます。」(リスクマネジメント経験が活かせるかもしれないな)

物流ネットワークの最適化や、システム導入・改善プロジェクトの遂行を見学し、佐藤は自身がこれまで培ってきたスキルがどのように活かせるか考え始める。
佐藤健二(考え込む):「自分の持っているデータ分析のスキルを、物流システムの設計や運用にどう活かせるか、もっと勉強したいです。」

秋山楓:「それは素晴らしい考えですね。データ分析のスキルは物流業界でも非常に求められていますから、きっと役立つと思います。」


関税・通関手続きの現場

秋山は佐藤に関税や通関手続きの現場も見せる。輸入・輸出手続きや通関業務の緻密さに圧倒された佐藤は、物流が国際ビジネスにおいていかに重要な役割を担っているかを実感する。

秋山楓:「関税は国際貿易における税金で、輸出入の際に発生します。通関手続きは、税関で輸出入の許可を得るための手続きです。」

佐藤健二:「関税はどのように計算されるんですか?」

秋山楓:「関税は、商品の種類や数量、価格などによって異なります。また、貿易協定や関税割引制度によって、関税率が変動することもあります。」

佐藤健二:「通関手続きは具体的にはどのような手続きがあるんですか?」

秋山楓:「通関手続きは主に、輸出入届け出、審査、税関検査、関税の納付があります。各国の法令や規制に従い、正確に手続きを行わなければなりません。また、電子データ交換(EDI)を利用した電子通関も広まっています。」

佐藤健二:「輸出入の際には、手間がかかりそうですね。」

秋山楓:「確かに手続きは複雑ですが、通関業者に依頼することもできます。また、経験や知識があれば、スムーズに手続きを進められます。」

佐藤健二:「関税や通関手続きは、国際物流の重要なポイントですね。しっかり勉強して、業務に活かしたいです。」

秋山楓(うなずきながら):「そうですね。国際物流をスムーズに進めるためにも、関税や通関手続きに関する知識は必須です。

物流改善プロジェクト

物流システムの導入や改善プロジェクトを進めることになった佐藤は、経営企画室主任の秋山 楓から輸送ルートの最適化プロジェクトを担当するように任された。
最初のミーティングでは、強面の輸送部門 羽田野 幸太郎部長と喋りが必ず「え〜と…」から始まるトラックドライバー 野木 英樹も参加していた。

佐藤:「それでは、輸送ルートを最適化するプロジェクトの進め方について話し合いましょう。まずは現状の輸送ルートや物流ネットワークを把握することから始めます。羽田野部長、現状のデータを教えていただけますか?」

羽田野部長:「もちろんだ。現状、われわれは多くの顧客への配送に複数のルートを使っており、それぞれのルートでトラックが異なる荷物を運んでいる。しかし、運行コストやリードタイムが長いことが問題だ。」

佐藤:「そうですね。では、現場の意見も取り入れながら、具体的な課題を洗い出しましょう。野木さん、トラックドライバーとしての視点から何か課題はありますか?」

野木英樹:「え〜と…、たとえば、荷物の積み込みが効率的でなくて、トラックの容量を十分に活用できていないことがありますね。」

佐藤:「なるほど。それでは、課題を①トラック積載効率向上、②配送ルート最適化によるリードタイム軽減の2つに分けて考えていきましょう。」

トラック積載効率向上

佐藤健二は「荷物の積み込みが効率的でなく、トラックの容量を十分に活用できていない」について、現場の状況を自分の目で見に行くのと同時に、さまざまな技術・事例を学びながら、まず実現可能性を無視したアイデアを15ヶ挙げた。

  1. トラック内部に動くロボットアームを設置し、自動で荷物を適切に配置する。

  2. 荷物の形状や大きさに応じて、カスタマイズ可能なパーティションをトラック内に設置する。

  3. 荷物の重量分布を最適化するため、バランスボードを使用して荷物を配置する。

  4. ドライバーにARゴーグルを提供し、荷物の最適な配置方法をリアルタイムで表示する。

  5. 荷物を受け取る際、荷物の大きさや形状に応じてタグを付け、積み込みの効率化を図る。

  6. 荷物を積む際、磁気を利用したシステムで自動的に固定できるようにする。

  7. 荷物を複数の小さなモジュールに分割して、トラック内で柔軟に配置できるようにする。

  8. ゲーミフィケーションを利用し、効率的な荷物の積み込みを競うようなアプリを開発する。

  9. 空間認識技術を活用し、荷物の積み込みの効率化に役立つAIアシスタントを開発する。

  10. トラックの床に可動式のコンベアベルトを設置し、荷物の積み込みを効率化する。

  11. ドライバー同士で荷物の積み込み方法に関するアイデアを共有し、ベストプラクティスを構築する。

  12. 空気圧を利用した荷物の積み込みシステムを開発し、効率化を図る。

  13. トラックの内部空間をより効率的に活用できるよう、折りたたみ式の二段ベッド式荷物収納を導入する。

  14. 荷物の積み込み効率を向上させるためのトレーニングプログラムを開発し、ドライバーに提供する。

  15. 荷物の3Dスキャンを利用して、最適な積み込みパターンを自動生成するシステムを導入する。


この中から、実現可能性が高いアイデアが5つ選ばれた。

案1:荷物の3Dスキャンを利用して、最適な積み込みパターンを自動生成するシステムを導入する。
 このアイデアは技術的に実現可能であり、積み込み効率を大幅に向上させることが期待できる。また、最適な配置を自動で生成することで、ドライバーの負担も軽減される。案2:荷物を受け取る際、荷物の大きさや形状に応じてタグを付け、積み込みの効率化を図る。

案2:荷物を受け取る際、荷物の大きさや形状に応じてタグを付け、積み込みの効率化を図る。
 シンプルで効果的な方法であり、既存のシステムに容易に統合できる点が魅力的である。タグを使用することで、荷物の取り扱いが容易になり、積み込み効率も向上する。

案3:ドライバーにARゴーグルを提供し、荷物の最適な配置方法をリアルタイムで表示する。 
 AR技術を活用することで、ドライバーが直感的に荷物の最適な配置を把握できる点が優れている。さらに、現場での誤りや再配置の手間も軽減される。

案4:トラックの床に可動式のコンベアベルトを設置し、荷物の積み込みを効率化する。
 このアイデアは既存のトラックにも適用可能であり、大きな投資を必要とせずに効率化が図れる。コンベアベルトを利用することで、荷物の移動がスムーズになり、作業時間が短縮される。

案5:荷物の積み込み効率を向上させるためのトレーニングプログラムを開発し、ドライバーに提供する。
 人材育成に注力することは、長期的な視点で非常に効果的である。トレーニングプログラムによってドライバーのスキルが向上し、積み込み効率が改善されるだけでなく、安全性も向上することが期待される。

ARゴーグルについては、ARゴーグルの購入費用や開発コストが高く、全ドライバーに提供するには予算が十分でないことや運用不可が重いことから除外することとした。

可動式のコンベアベルトの設置には、トラックの改修費用が発生するだけでなく、コンベアベルトの故障やメンテナンスにかかる費用も発生するため中期で試算すると費用対効果が小さいことがわかった。

タグシステムの導入にかかるコストだけではなく、タグの在庫管理や廃棄処理にも費用が発生する。また、ドライバーにタグ付け作業を追加することで、作業負荷が増えることがドライバー不足の現状で羽田野部長が拒絶することが予想されたので、これも案から除外した。

結果として、荷物の3Dスキャン活用を主軸に、並行してトレーニングプログラムを野木英樹が策定する計画を佐藤健二は立てた。


プロジェクトが進む中、佐藤は羽田野部長や野木 英樹と共に、荷物の積み込み効率を改善するための解決策を練り上げた。
彼らは、荷物の3Dスキャンを利用して最適な積み込みパターンを自動生成するシステムを導入することを決定した。このシステムにより、トラックの容量を最大限に活用できるようになるだけでなく、荷物の積み込み作業にかかる時間も短縮されることが期待できた。

佐藤:「このシステムを導入することで、荷物の積み込みが効率化され、トラックの容量も有効活用できるようになります。これによって、輸送コストの削減やリードタイムの短縮が可能になるでしょう。」

さらに、野木 英樹はトレーニングプログラムを策定し、ドライバーや倉庫作業員が新システムを効果的に活用できるようにサポートする役割を担った。
野木英樹:「え〜と…、僕が担当するトレーニングプログラムを通じて、みんなが新しいシステムを使いこなせるようになると思います。これによって、さらなる効率化が期待できますね。」


配送ルート最適化によるリードタイム軽減

佐藤健二は「ルート最適化によるリードタイム軽減」について、現場の状況を自分の目で見に行くのと同時に、さまざまな技術・事例を学びながら、トラック積載効率向上のときと同様にまず実現可能性を無視したアイデアを15ヶ挙げた。

  1. ドローンや自動運転車を活用し、交通状況に左右されない配送ルートを確立する。

  2. 天気予報や交通情報をリアルタイムで取得し、障害のないルートを選択する。

  3. 配送スポットごとにスロット制度を導入し、到着時間を事前に調整してリードタイムを短縮する。

  4. 他の運送会社と情報共有し、相互に最適なルートを提案するプラットフォームを構築する。

  5. 配送ルート上にバッテリー交換ステーションを設置し、電動トラックの航続距離を伸ばすことで、回り道を減らす。

  6. 顧客同士の連携を促進し、荷物の一時預かりや受け渡しを助け合うことで、リードタイムを軽減する。

  7. 顧客が指定できる配送時間帯を限定することで、配送ルートを効率的に組むことができる。

  8. マルチエージェントシステムを導入し、複数の配送担当者が同時に効率的なルートを検討し、最適なものを選択する。

  9. 運転手の技量や経験を考慮し、最適なルートを提案するAIアシスタントを開発する。

  10. 配送ルート上にある商店や施設と提携し、一時的に荷物を預かることで、リードタイムの短縮を図る。

  11. ローカルエリア内でのショートカット情報を収集し、データベース化して最適ルート検討に活用する。

  12. 道路に設置されたIoTデバイスを利用して、リアルタイムの交通情報を取得し、ルートを最適化する。

  13. 休日や祝日に合わせて、一時的に配送ルートを拡大し、リードタイムを軽減する。

  14. バーチャルリアリティ技術を使って、ドライバーにルート最適化のシミュレーションを行わせ、より効率的な配送ルートを見つけ出す。

  15. 量子コンピュータを活用して、超高速で最適な配送ルートを計算する。


この中から、実現可能性が高いアイデアが3つ選ばれた。なお、配送時間帯指定とスケジュールのスロット制はすでに導入されて一定の成果をあげていることから除外した。
案1:天気予報や交通情報をリアルタイムで取得し、障害のないルートを選択する。
 このアイデアは現在の技術を活用して容易に実現できる点でメリットが大きい。リアルタイムの情報をもとにルートを最適化することで、効率的な配送が可能になる。

案2:配送ルート上にある商店や施設と提携し、一時的に荷物を預かることで、リードタイムの短縮を図る。
 このアイデアは地域との連携を強化し、リソースを有効活用する点が優れている。提携先の施設で荷物を一時的に預かることで、運送業者の負担も軽減される。また、将来的な新規事業サービスの種を蒔くことができる。

案3:道路に設置されたIoTデバイスを利用して、リアルタイムの交通情報を取得し、ルートを最適化する。
 IoTデバイスを活用することで、より正確なリアルタイム情報を得られる点。これにより、交通状況や道路の事故情報をもとに、迅速にルートを最適化できる。

佐藤健二としては、将来性の高い案2を採用したい気持ちがあったが、物流会社のノウハウしかないモンド物流で成功させる可能性が未知数であることから、転職すぐに着手する施策には適さないと判断した。
必要なのは、クイックヒットなのだ。
とはいえ、平凡な案1では大きな成果が見込めない。

結果として、佐藤健二はトラックと道路に設置したIoTデバイスを利用してリアルタイムの交通情報を取得し、ルートを最適化するアイデアを提案した。

佐藤:「皆さん、現在のルート選択では、渋滞や工事などの交通状況によってリードタイムが不安定になってしまうことがあります。そこで、IoTデバイスを利用してリアルタイムの交通情報を取得し、最適なルートを選択することで、リードタイムの軽減を図りましょう。」

秋山楓:「なるほど、それは面白いアイデアですね。リアルタイムの情報を活用することで、より効率的なルート選択が可能になりますね。」

羽田野幸太郎部長:「佐藤くん、そのアイデアは試してみる価値がありそうだ。しかし、導入にはコストがかかるだろうから、効果が十分にあることを確認してから進めよう。」

佐藤は部長の意見を受け入れ、まずは試験的に数台のトラックにIoTデバイスを取り付け、効果の検証を行った。結果として、リアルタイムの交通情報を利用したルート最適化が、リードタイムの短縮に大きく寄与し、コスト削減にもつながることが分かった。

野木英樹:「え〜と…、このアイデアは本当に効果がありそうですね。渋滞を避けられるだけでなく、燃料の節約にもつながりますし。」

佐藤の提案が実現されることで、モンド物流はさらなる効率化を達成し、競争力を高めることができた。これにより、佐藤は経営企画室の主任となった。

この事例が物流業界誌で取り上げられたことから、佐藤健二には講演依頼が入るようになった。
登壇しに行くと、優れたスキルを持つビジネスマンの登壇者が大勢いて、佐藤健二への大きな刺激となった。
また、エグゼクティブサーチと呼ばれる転職エージェントからの転職先斡旋も舞い込むようになった。

転職先斡旋先の待遇は現在の佐藤健二の1.5倍〜2倍の年収を保証するものであることから、再度転職を視野に入れる佐藤健二であった。

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