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プロローグ

雪のちらつきそうな重たげな雲の朝、
ディスプレイの大きさを優先した重たいノートパソコンを背負ってる。

はじめまして、ちくわぶと申します。いま出勤中です。
写真と水族館と散歩とお出掛けと家族をこよなく愛する
じっとしていられない大人です。
でも、今朝は重たい荷物と行き先が私を縮こませるのです。

そんな私の横を朝練のランニング高校生集団が颯爽と追い越していく。
みんなシャキッとスラッとしている。アオハルかよ。

そのアオハルと共に中年男性が一糸乱れず並走している。
え、・・・いや、顧問か・・・

あぁ、寒いよ、重いよ、おかあさん・・・目を閉じたら高校生の私がいた。

高校生の私は朝練で学校の外周を走っている。
運動部?いや動く文化部だった。

その名もバトントワリング部

キラキラとした衣装を身に纏い、バトンを巧みに回して舞い踊る
校内を歩けば声を掛けられ笑顔を振りまくあの花形部活

大会上位を目指し、日々汗と涙と怒号と出血と痣だらけの
同級生からは「ハレンチな格好をする恥じらいのない人」と
ある意味一目置かれた集団、それが私の所属部だった。

部活中の水分補給なんて邪道だったそんなあの頃。
それでもちゃんと楽しかったよ、あの頃。

男子校から赴任してきたイケオジ体育教師がクラスの副担任になった。
新任から男子校で共学校も女子に指導するのも初めてと頬を赤らめる。
そのクラスは共学校の女子クラス、赴任早々大変だっただろう。
私でも優しくしてあげようと思ったのだ。みんなだってそうだっだ。

そんなイケオジ先生が正面から走ってくる。陸上部の顧問だ。
100メートル
今日みたいな肌寒い日でもぴちぴち競技服、顧問だけどね。
50メートル
陸上部の競技服は明るい色の派手なデザイン多いですよね。
30メートル
Wow!SUNのデザイン、SONの上!!?

もう目線が下にしかいかない・・・お嫁にいけない、そっと目を閉じた

おぅ!ちくわぶ、走ってるか?
笑顔を振りまき颯爽と通り過ぎ、後方で次々と声を掛けていく。

なんかさ、半円の朝日にさ、ぴかっと放射線状に赤、青、黄色。。。
イケオジ先生はクラスから一目置かれるようになった。
何かを返してほしくなったあの日・・・
それでも先生は自分を奮い立たせて日々を一生懸命生きていたんだろう。

あるがままの心で生きようと願うから
人はまた傷ついていく
知らぬ間に築いてた自分らしさの檻の中で
もがいているなら誰だってそう
僕だってそうなんだ

(Mr.Children 名もなき詩)

わたしもそんな当時の先生の歳を超えたんだな・・・
ゆっくり目を開き、背筋を伸ばした。
シャキッとしよう。
そして毎日を一生懸命笑ってやろう。

100メートル先まで行った、・・・一生懸命な背中にそっと誓った。

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