仁部前誠

僧侶|妙見山上原寺 「法華経の話はほとんどしませんが、すべては法華経の話です」

仁部前誠

僧侶|妙見山上原寺 「法華経の話はほとんどしませんが、すべては法華経の話です」

マガジン

  • 貪った本たち

    読書記録(令和5年4月10日〜)

  • 仁部兄弟に聞きました お坊さん教えて!

    「幽霊っているの?」「運の正体とは?」などと思ったことは誰しもあるはず。そんな“目に見えないもの”にまつわる素朴な疑問や、仏教に関する知識を、SNS等で人気の僧侶、仁部(にべ)兄弟がゆるく解説。ふたりの掛け合いが楽しいインターネットラジオ「お寺ジオ」の配信内容をベースに、加筆・再構成してお届けします。

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お寺ジオ2周年!

音声配信をはじめて2年が経過しようとしている。これまでラジオを通して、多くのご縁と果報をいただいた。本当に感謝しています。 2周年にあたって、今までの出来事をまとめてみました。 振り返れば「苦労したこと」などひとつもなく、ただしゃべってきました(笑) 「話すこと」「お経を読むこと」この2つは、ラジオで配信しようがしまいが普段から行っていることであり、この番組はこれといってゴールも目的もなく、これからも細く長くやっていくと思います。「ラジオ配信をとおして学んだこと」はいずれま

    • 永遠の途中:唯川恵

      今回貪った本→ https://a.co/cm86vcx 広告代理店に勤務する薫(かおる)と乃梨子(のりこ)は、同期入社。仲はよいが相手と自分を比べずにいられない微妙な関係。どちらも、同僚の郁夫(いくお)に恋心を抱いていたが、ささやかな駆け引きの後、薫が郁夫と結婚して主婦に。乃梨子は独身でキャリアを積み続ける。歳月は流れ、対照的な人生を歩みつつも、相手の生き方を羨んでしまうふたり……。揺れる女性の心をリアルに描く長編小説。 27歳から還暦の60歳まで、33年間に渡る元同僚

      • ルポ 誰が国語力を殺すのか:石井光太

        今回貪った本→https://amzn.asia/d/5NrKqBI 『ごんぎつね』の読めない小学生、反省文の書けない高校生…… 子供たちの言葉を奪う社会の病理と国語力再生の最前線を描く渾身のルポ! Xのような言論空間では、「国語力の問題」が何かと議論される。具体的にはクソリプに対して「文字は読めても文章が読めない」だとか「書いてないことを読んでしまう」といった具合だ。それらに触れる中で、「自分自身はどうなのか」と危機感を抱いたことがある人も多いのではないか。僕もその一

        • 信仰:村田沙耶香

          今回貪った本→https://amzn.asia/d/2MfbJrx 世界中の読者を熱狂させる、村田沙耶香の最新短篇&エッセイ 「なあ、俺と、新しくカルト始めない?」 好きな言葉は「原価いくら?」で、 現実こそが正しいのだと、強く信じている永岡。 同級生から、カルト商法を始めようと誘われた彼女は――。 信じることの危うさと切実さに痺れる8篇。 タイトルとカバーに惹かれて読み始めた令和6年1冊目。芥川賞受賞作『コンビニ人間』著者の作品。 ん〜〜〜短編集、嫌いではない

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        記事

          マリアビートル:伊坂幸太郎

          今回貪った本→https://amzn.asia/d/eQkvCyS 伊坂幸太郎の殺し屋シリーズ3部作を読み返すということで、再読。 舞台は殺し屋だらけ新幹線の車内。この状況から謎めいた緊張感があります。 前作に続き、殺し屋という特異な存在たちの「命の重さ?なにそれ?」という価値観で物語が進んでいきますが、途中「なぜ人を殺してはいけないのか?」という世界観を覆すような命題が浮上します。 これは「王子」というサイコパスな中学生の発言です。これに対し、前作『グラスホッパー

          マリアビートル:伊坂幸太郎

          グラスホッパー:伊坂幸太郎

          今回貪った本→https://amzn.asia/d/ev6b7gI 10年以上前に読んだ伊坂幸太郎の『グラスホッパー』を再読。 登場人物はほぼ殺し屋。この殺し屋一人ひとりのキャラクターが本当に多彩。個性溢れすぎています。 特徴的なのは、物語が大きく展開する場面で、きまって殺し屋に殺された被害者の亡霊、つまり、この世にいない人間が登場しがっつり物語に絡んでくる。 自ら手にかけた亡霊の言葉によって、生きてる人間同士の物語が動き出す様が独創的でなんとも面白い。 このよう

          グラスホッパー:伊坂幸太郎

          天使の囀り:貴志祐介

          今回貪った本→https://amzn.asia/d/7cVARyU 超久しぶりのホラー小説。 この手のものを読むときは、さんざん「こわい」描写をぶつけられた挙げ句、結局よくわからないまま終わるパターンは最も避けたい事態なので作品選びは慎重になる。 そして出会ったこの本。 読み始めるとまあ、、、抜け出せない。ぐんぐん引き込まれ一気読みしてしまいました。 後半につれ徐々にスリリングになる展開もさることながら、シンプルに文章が読みやすいです。不要なレトリックがなくノース

          天使の囀り:貴志祐介

          逆説思考~自分の「頭」をどう疑うか~:森下伸也

          今回貪った本→https://amzn.asia/d/023o06a 「パラドックス」とは一般に正しいとされている常識的な見解に反している、「にもかかわらず正しい見解」である。 う〜ん、なんとも回りくどいけども、この定義が正しいんだともう。 自分の中で「パラドックス」とは、頭が良い人、特に物事を構造的に捉えることができて、図形を回転させるように多面的に捉え、「こことここは矛盾してるけど、ある条件の上では矛盾しない」だとか言えちゃう人が使う言葉という印象だった。 この本

          逆説思考~自分の「頭」をどう疑うか~:森下伸也

          武器になる哲学:山口周

          今回貪った本→https://amzn.asia/d/9vPEID2 ん〜これは良い本だった。 哲学書というと、読了するのに相当な時間と体力が必要で結構ためらってしまう人も多いはず。途中でギブアップする確率高いし。。 そんな中、歴史上の名だたる哲学者たちの「知」をセレクトショップのように羅列し、その都度、著者による丁寧な解説がなされる1冊。どのページを開いても読めるから、ふとした時に読み直すのにも適してるかと。 というのも、歴史を超えてきた偉人たちの「知」というのは、読

          武器になる哲学:山口周

          認知バイアス 心に潜むふしぎな働き:鈴木宏昭

          今回貪った本→https://amzn.asia/d/bTykmIt 先入観からくる思考の偏りは、誰しも多かれ・少なかれ、自覚している・していないに関わらずあるもの。 だからこそ、それはどんなものか知っておこうとセレクトした本。 読んでみると、それこそ著者自身が自らのバイアスに対して細心の注意を払いながら筆をとったことが伝わってきます。章ごとに異なるバイアスについて様々な視点で書かれており、その章ごとに「ブックガイド」ということで、参考文献が丁寧に羅列されている。 読

          認知バイアス 心に潜むふしぎな働き:鈴木宏昭

          ゴールデンスランバー:伊坂幸太郎

          今回貪った本→https://amzn.asia/d/amlK0SD 久しぶりに読んだ伊坂幸太郎はやはりよかった。 主人公は何もわからず首相殺しの犯人扱いされ、友人の助けを受けながらとにかく逃げまくる物語。 「俺は犯人じゃない!」 スリル満点に描かれる逃亡生活の合間に、学生時代の思い出が回想されながら、主人公の誠実な人間像とその人柄だからこそ築きあげられた人間関係がみえてきます。 それにしてもどの伊坂作品でも感じることだけど、登場人物の何気ない会話がなぜこんなにも洒

          ゴールデンスランバー:伊坂幸太郎

          本の読み方 スロー・リーディングの実践:平野 啓一郎

          今回貪った本→https://amzn.asia/d/9m1iaG4 本書は小説家である平野啓一郎さんが「本の読み方」を教えてくれる。 本はどう読んだらいいのか? 速読は本当に効果があるのか? 闇雲に活字を追うだけの貧しい読書から、深く感じる豊かな読書へ。まさに「量」より「質」という感じだ。 平野さんといえば、過去に『私とは何か「個人」から「分人」へ』を読んだことがある。 哲学的にも仏教的にも重要な「自分」とはなにか、そして、それとどう向き合うのかについて、新たな視座

          本の読み方 スロー・リーディングの実践:平野 啓一郎

          役に立つ古典 NHK出版 学びのきほん:安田登

          今回貪った本→https://amzn.asia/d/eARTXIZ 僕が大好きな文筆家の池田晶子はその著書において度々「古典を読むこと」をすすめてくる。 そんなわけもあって興味はあったけれども、中々古典を読むことに踏み出せずにいた時に出会った1冊。 時空を超えて読みつがれる古典には、時空を超えられた理由が必ずあるわけで、そこには人類の普遍的な智慧が詰まっている。身近なところで言えば「ことわざ」なんかもそうなのかな。 この一文に巡り会えただけでもこの本を読んだ価値があ

          役に立つ古典 NHK出版 学びのきほん:安田登

          老人の壁:養老孟司・南伸坊

          今回貪った本→https://amzn.asia/d/7StARkD 一言でいうと「みんな!もっと力を抜いて明るい老人になろう!」という本。 寺はお年寄りが多く出入りする。だからお年寄りに接する機会が本当に多い。 お茶を飲みながらする他愛もない会話から、人生の最期をどう迎えるかなどの話になることもままある。 「生き方は逝き方」という言葉があるけど、価値観が多様化し情報に翻弄される世の中にあって自分はどう生きて、どういう老人になるのだろう。そんな中、目に止まった一冊。

          老人の壁:養老孟司・南伸坊

          対岸の家事:朱野帰子

          今回貪った本→https://amzn.asia/d/6wzSCeR 子育てだけに限らないけれど、ハウツー本を読むよりも物語を読んだほうがなにかと頭に入るタイプなので実用的ななにかも期待しながらこの本をチョイス。子育て世代として「あるある」と頷きながら読み進められました。 まず、このタイトルに惹かれた。「子育て」というのは、当事者になってみてはじめてわかることだらけだという事実を見事に表現していると思う。 巷で話題になるベビーカー問題もそう、公共の場における赤ちゃんの泣

          対岸の家事:朱野帰子

          頭がよくなる逆説の思考術 :白取春彦

          今回貪った本→https://amzn.asia/d/2hl7sc7 読み終えた後の率直な感想は「まるで経典みたい」 文中の言い回しやその内容がまさに経典。 110ページという短い中に細かなテーマで生きるヒントが散りばめられた本。 紹介した冒頭の一節にもあるように、この薄い一冊と向き合うことで自分の中の迷いだとか霧のようなものがスッと晴れていく感じがします。 新しい視座も与えてくれるが、ぼく自身はどちらかといえば「そうそう」とうなずきながら、自分の中の正解を今一度な

          頭がよくなる逆説の思考術 :白取春彦