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ゴールデンスランバー:伊坂幸太郎


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久しぶりに読んだ伊坂幸太郎はやはりよかった。

主人公は何もわからず首相殺しの犯人扱いされ、友人の助けを受けながらとにかく逃げまくる物語。

「俺は犯人じゃない!」

スリル満点に描かれる逃亡生活の合間に、学生時代の思い出が回想されながら、主人公の誠実な人間像とその人柄だからこそ築きあげられた人間関係がみえてきます。

それにしてもどの伊坂作品でも感じることだけど、登場人物の何気ない会話がなぜこんなにも洒落っ気を帯びるのか。

物語とは直接関係ない無駄といえば無駄な気がするなんの変哲もない会話が、全くノイズに感じることなく心地よい。これだよな〜伊坂作品の良さは…

さて、ゴールデンスランバーを読むのは2回目。

巻末インタビューに印象的な言葉がありました。

「物語の風呂敷は、畳む過程がいちばんつまらない」は、物語内で伏線を設定してそれを回収する、という技術を高めてきた伊坂さんだからこそ痛感したことのようだった。 「僕の初期の作品は伏線を綺麗に回収して、話をこんなふうにも畳めるんだな、と新鮮に驚いてもらうタイプのものでもあったんです。そういう部分が好きで読んでくれている読者も多いようでした。でも、僕自身はいろいろな小説を読んだり映画を観たりしても、むしろ、この畳まなさ具合に味があるんだよな、みたいに感じるほうなんです。


「物語の風呂敷は、畳む過程がいちばんつまらない」と伊坂さんが言っているように、読了しても回収されない伏線がある。この広げた風呂敷の畳まなさ具合、これまで華麗に畳んできた伊坂さんの新たな挑戦とのこと。

なんかね、個人的には畳んで欲しい!という思いもありながらゴールデンスランバーに関してはそんなことどうでもよくなるんです。

こんなことを言ったら怒られるかもしれないが、「畳まなさの味」よりも、どうしようもない巨悪になんとか立ち向かおうとする爽やか〜な友情に満足してお腹いっぱいになれるのよ。大義や熱い想いとかではなく、ただ友達だから、いいヤツだから助けてやるんだという爽やかさ。人と人はシンプルに助け合えるんだよね。

久しぶりに読んだ伊坂幸太郎はやはりよかった。

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