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カグラばあちゃん、カボチャ畑で世間話をする。

Kagura Grandma. she makes small taik in the pumpkin patch
~カグラばあちゃん、カボチャ畑で世間話をする~

すごく長いタイトルですが、お話は短いです。
こちらもUO内の文学賞に投稿した作品になります。

物語の中にゲームシステムに絡んでいる設定などがありますので少しわかりずらいかも知れませんが、そちらは後程、解説したいと思います。

イメージ的には一人芝居のような感じで読んでいただければ幸いです。
それではどうぞ

***

うぅーん・・・ん?
ああ・・・あんたは誰だね・・・?
 
よいしょっと。あいたたた。
おやおや、あたしゃこんなとこで横になって眠ってたのかい?
 
え?死んでた?
あたしがかい?
 
じゃあ、ここはあの世かね?
死ぬ前に居た世とあんまり代わり映えしないんだね・・・。
ひょっとして、あんたもそこいらの人間と変わらないようだけど、神のお使いとかかい?
 
え?
違う?あたしが死んでたから蘇生したんだ?包帯を巻いて?
 
あたしゃ、まだそんなに耄碌していないつもりだったんだけどね。
あんたの話はさっぱりわからないね。一体どういうことなんだろうね?
 
蘇生といったら魔法使いかヒーラーの仕事って聞いたことがあったんだが、それも腕の立つものでないと中々できる技じゃないってね。
 
あたしの孫娘にもムーングロウの学校だかに一昨年から行ってるのがいるんだわ。
親どもはわが娘に魔法の才があるなんて浮かれてるが、上には上がいるもんで、田舎出の駆け出しは中々苦労してるみたいだわなぁ。
毎日がんばって修行しているが、あたしにはこっそり愚痴を書いた手紙をたまに寄越したりするのさね。
きっと親には言えないんだろうね。いじらしいじゃないか。
 
どうにもならないようなら戻ったっていいじゃないかってあたしは言ってやるんだがねぇ。
器量だって悪くないんだから良さげなところを見繕って嫁に行くのも悪くないと思うんだがね。
あ、いや、それはまあいいわ。
てことは、そうは見えないがあんた、位の良い魔法使いなのかい。
 
え?違う?
あんたは魔法使いではなくて戦士で、戦士も包帯を使って蘇生ができる・・・。
そんなこともできるのかい?
はぁー、包帯でねぇ・・・へぇー・・・はぁー。
あたしゃ、それなりに長く生きてきたつもりだけど、まだまだ知らないことがこの世にはあるもんなんだねぇ。
 
どっちにしろあのままだったら、あたしゃきっとあの世に行くことになってたろうね。
あんたが通りかかってくれてほんとに助かったよ。ありがとねぇ。

それにしても・・・いやはや、畑のカボチャに襲われるとはね。
この時期なにやら畑が踏み荒らされることがあるって聞いたことはあったんだけど、あんな化け物が出るとは知らなかったよ。
あんたは大丈夫だったかね?まだそこいらにカボチャの化け物がうろついてなかったかい?
 
ところで、あんたはこんなところにどうしたね?
見たとこ、ここには全然用がなさそうな格好をしてるみたいだけど?
 
え?あの化け物を倒すと特別なカボチャが手に入る・・・。とくべつ、ねぇ
で、そのためにあんたはあちこちの畑で退治して回っているのかね?
へぇー

ほら、あんた!
あっちからカボチャ頭がこっちに来るよ!
さあさ、あんたの腕前を見せておくれ。
あたしゃあ、ここで見させてもらうよ。
どっこいしょ

ほおー、中々やるでないの?
なるほどああやってねぇー。
しかしまあ、あのカボチャ頭のでっかくて派手なことといったら、ほっほっほ

・・・なんか、どっかで見たことあるねえ・・・?

ああ、あれだわ。
シシマイ?
子供の時分、頭を噛まれるのが怖くてねぇ?
あら、ありゃ神様の御使いじゃなかったっけね?

おやおや、大したもんだね。やっつけたよ。

あんたぁー、大したもんだねー!
あっっ!どうしたんだい、あんた!?

おやまあ、死んじまったよ。
せっかく倒したってのに、相討ちかね。
仕方ないねえ、ちょっと待っておいで、ヒーラーを呼んできてあげるとしようかね。

生き返ったら化け物を退治してくれたお礼にカボチャの料理を振る舞ってあげるから、家においでな。

何が良いかね?
パイにポタージュスープ、煮付け、天ぷら。子供の好きなプリンも作れるよ。

まあまあ、そんなにわめきなさんな。
あたしにゃあ、あんたたちの言葉は解らないんだから、喋るんなら生き返ってからにおしよ。
 
はー、それにしても、随分畑を荒らしてくれたね。
爺さんに叱られそうだよ。

ああ、心配しなくてもあたしが一緒に謝ってあげるよ。
さ、ヒーラーを探しに行くよ。

おや、そんなに急いで行かなくてもいいんじゃないかね?
これだから若いもんは、はー、やれやれ
 

 
***

お読みいただきありがとうございます。

UOの世界ではスキルにより様々なことができます。
スキルの値が高いということはその技が熟練しているということで、失敗なく効果を高く発揮するために、冒険者たちはみな腕を磨いています。

たとえ死んでしまっても高いスキルを持つ冒険者の魔法や治療の技で生き返ることができます。
また、死ぬと幽霊になるわけですが、生きている人に幽霊の言葉は通常聞こえませんが、幽霊同士か幽霊の声を聴くことができるスキルの高い者には聞き取ることができたりもします。

秋になるとブリタニアにある畑には大きなジャックオーランタンが湧くようになり、それに触ると中からカボチャのお化けが飛び出してきて、それを退治するとカボチャのランタンを作ることができる特別なカボチャを手に入れることができます。

普段はダンジョンに狩りに出かけている冒険者たちもこの時は各地の畑に出かけてお化けカボチャ狩りを楽しみます。

この物語はそんなブリタニアのイベントから着想を得て書いてみました。

カグラばあちゃんのグダグダ話にお付き合いいただきありがとうございました!

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