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#057 自由進度学習〜取り入れた理由〜

 今年も学級がとても落ち着いていて、3学期何か一つチャレンジしたいと思っていた。そこで、今年度勉強し、ずっと温めていた自由進度学習をやってみることにした。今回は、算数「四角形と三角形の面積」(5年)でやってみたのだが、取り入れて2、3時間目から「これはいいかも」と手応えを感じたので、「導入した理由」「導入の仕方、注意点」「成果と課題」の3つに分けて、実践をまとめることにした。

取り入れた理由①個別最適な学びと協働的な学びの実現

 新学習指導要領に基づいた児童生徒の資質・能力の育成に向けて、ICTを最大限活用し、これまで以上に「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実し、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善につなげるとともに、カリキュラム・マネジメントの取組を一層進めるに当たり、留意することが重要と考えられる内容を新学習指導要領の総則の構成に沿ってまとめました。

文部科学省ホームページ

 文部科学省のホームページには、このように書かれている。
「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の充実が求められる。「個別最適な学び」は、これまで「個に応じた指導」と言われていたものと似ているが、主語が大きく変わっている。「個に応じた指導」の主語は教師であって、教師が個に応じて「指導する」のである。一方、「個別最適な学び」の主語は子供であって、子供が個別に最適な「学び」をすることが求められている。
 そのように読み解いたとき、従来の一斉授業では、個別指導やヒントカードなどを使うことで「個に応じた指導(支援)」はできても児童自ら「個別最適な学び」を行うことは難しいと感じた。
 また、協働的な学びにおいても教師が設定する交流の時間に学び合うことは不自然であり、児童が必要感を持って、自ら仲間や教師と協働するためには、現行の一斉授業では厳しいと感じた。
 そこで、自由進度学習が適しているのではないかと考えた。個々のペースに合わせてミッションをクリアし(個別最適な学び)、ミッションをクリアするために必要なときに自由に相談できる(協働的な学び)からである。すると、子供たちは自然と「主体的・対話的で深い学び」を行っていく。

取り入れた理由②「何ができるようになったか」

 学習指導要領では「何を学ぶか」を重視しつつも、その内容を学ぶことで児童生徒が「何ができるようになるか」を重視している。一斉授業は、個人差に関係なく、一律の指導方法で「何を学ばせるか」を達成することはできても、個々の児童の「何ができるようになったか」を図ることは難しいと感じた。
 従来の一斉授業では、思考停止状態でも授業は進むし、黒板を写すだけでも「勉強した。」、「〇〇を学んだ。」と錯覚させることができた。しかし、各々が課題に取り組む自由進度学習では子供自らが動かない(考えない)と進まない。そのため、「何を学ぶか。」と同時に、自らでアウトプットするため「〇〇ができるようになった。」と成果物を自ら作り出すことができる。
 現に、子供達に話を聞いたところ「これまでの授業だと、自分で考えなくても誰が答えを言ってくれたけど、このやり方(自由進度学習)だと自分で考えないと進まないので、自分の力が向上しているのがわかる。」と言ってた。これは、クラスでも成績上位の子の意見である。授業で活発に意見を言って授業を作っていた子ですら、このように感じていたことにショックを受けた。

まとめ

 自由進度学習と取り入れた理由をまとめてみた。私は、新しい実践を導入する際に自論を挙げ、盲信することにはならないように心掛けている。我々の仕事は、社会を担う大切な子供達を相手に行うものであり、一個人の偏った考えで、その子供たちに間違った教育をしてはいけないと思うからだ。
 そこでいつも意識しているのが、「学習指導要領」や「中央教育審議会答申」などである。こういった公の考えを基に自分の考えを持ち、それらの狙い(目的)を達成するために、子供たちにとって最良の方法を考えるようにしている。そのように考えた結果として自由進度学習の可能性を感じたため、実践した。
 次回は、自由進度学習を実践する上で気を付けたことや工夫したことをまとめていく。

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