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#064 ティーチングとコーチングの使い分けよう

 ティーチングとコーチングは教育や指導の方法として重要な役割を果たすが、それぞれに異なるアプローチやメリットがある。その点を理解して、使い分けられるようにしたい。


ティーチングのメリットとデメリット

  ティーチングは、知識や情報を伝えることに焦点を当てる。教師や指導者が主導権を持ち、生徒や指導対象者に対して知識やスキルを伝えることが目的である。
 ティーチングは、経験豊富な教師や指導者が生徒に正確な情報やスキルを伝えることができる。そのため、早く正確な情報を提供し、生徒の学習や成長を促進することができる。一方、生徒の自己発見や自己成長を促進することや生徒の関心や個々のニーズに十分に対応することが難しい。
〜ティーチングが相応しい場面〜
・新しい概念やスキルを導入する場合
・生徒が基本的な知識やスキルを習得する必要がある場合
・緊急性が高く、迅速な指導や解決が必要な場合

コーチングのメリットとデメリット

 コーチングは、生徒や指導対象者自身が解決策や答えを見つけるためのプロセスをサポートすることに焦点を当てる。教師や指導者は質問や挑戦を通じて、生徒の自己発見や成長を促す。
 コーチングは、生徒の自己意識や自己理解を深め、自己解決能力を向上させることができる。また、生徒の関心や個々のニーズに合わせて指導をカスタマイズすることができる。一方で、教師や指導者の時間やエネルギーを多く必要となったり、生徒や指導対象者が自己解決するのに時間がかかったりする。
〜コーチングが相応しい場面〜
・生徒が自己解決能力を向上させる必要がある場合
・生徒が自己意識や自己理解を深める必要がある場合
・生徒の目標設定や進路決定など個人的な課題に取り組む場合

ティーチングとコーチングを使い分ける

 ティーチングとコーティングのメリットとデメリットを見極めた上で、生徒にどのような力を身に付けさせたいのか『目的』を持って、使い分ける必要がある。
 また、発達段階に応じて使い分ける必要もある。低学年の児童に対しては、自己解決能力や自己理解、目標設定などを促したところで引き出しがなかったり、そもそも興味が持てなかったりする。そのため、ティーチングを基に解決方法を教えたり、教材や学びの魅力を伝達したりする必要がある。倫風という雑誌でアーティスティックスイミング指導者である武田美保さんが選手時代の自分を振り返り、下記のような話をしている。

 まだ若い選手の場合は、対話というよりは教え授けるティーチングのほうがメインですが、本人のモチベーションが上がってきて「このレベルまでうまくなりたい」とか、「これぐらいの点数を取りたい」などと具体的に目標設定ができるようになってきているとと感じたら、対話を重視したコーチングにしていきます。

倫風4月号   

 指導者がコーチングを基に生徒の自己意識を高めたいと思っていても、生徒自身にその準備ができていないとコーチングの効果は生まれない。一方、教師がティーチングで基本的な知識を伝達してようとしても生徒にとっては、自己決定したい場面かもしれない。このように、教師の『目的』と生徒の求めるものが一致しないこともある。そのため、生徒の実態を掴むことが重要になってくる。

まとめ

 ティーチングとコーチングという言葉に出会った時、「教育=コーチング」というぐらい極端にコーチングが大切だと思い込んでいた。書籍を読み漁ったり、実際にコーチングを試みたりもした。しかし、武田美保さんの話を聞いて、生徒自身がまだ目標設定できていなかったりがむしゃらに努力することが目的になったりする時期もあることに気付いた。そして、小学校生活では、理由もなく(子供が意識していないだけ)挑戦したり努力したりすることで自分が見えてくることもあるような気がしてきた。
 コーチングが大切な指導スキルであるという考えは変わらないが、ティーチングも大切である。子供の『求めているもの=実態』を土台に教師が『目的=狙い』を持って、ティーチングとコーチングを使い分けれるようにしていきたい。

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