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#056 大谷翔平さんのグローブで道徳の授業をやってみた!

 大谷翔平さんが全国の小学校にグローブ(右用2つ、左用1つ)を寄付してくれた。1学級30人に対して3つのグローブで何ができるのか頭を悩ませていた。しかし、このグローブは最高の教材である。また、こんな粋な計らいをしてくれる大谷翔平さんへの教師としての恩返しは、このグローブを活用し、子供達に夢や希望を与えるような授業をすることだと思った。
 そこで、今回はこのグローブを活用して道徳の授業をやってみようと思った。体育で活用したいと思っていたが、キャッチボールくらいしか思いつかない。もちろん、体育(できれば「ベースボール型」)の実践を模索し続けるが、まずは道徳で大谷選手の生き方から心の教育を行いたいと考えた。そんな時、SNSで発信をしているトモ先生こと髙橋朋彦先生がvoicyで大谷翔平さんのグローブを使った授業を提案していたので、それを参考に取り組んだ。

内容項目は「希望と勇気、努力と強い意志」

(第1学年及び第2学年)
 自分のやるべき勉強や仕事をしっかり行うこと。
(第3学年及び第4学年)
 自分でやろうと決めた目標に向かって、強い意志をもち、粘り強くやり抜くこと。
(第5学年及び第6学年)
 より高い目標を立て、希望と勇気をもち、困難があってもくじけずに努力して物事をやり抜くこと。
[中学校]
(希望と勇気、克己と強い意志)
 より高い目標を設定し、その達成を目指し、希望と勇気をもち、困難や失敗を乗り越えて着実にやり遂げること。

小学校学習指導要領解説

 大谷選手の人生そのものだと思った。もちろん、彼のような推敲な人生を歩むことは簡単なことではない。しかし、小学校学習指導要領解説には、このように書かれていおり、大谷翔平さんのような生き方がモデルになると思った。

グローブは導入で

 大谷選手が寄贈してくれたグローブは、導入部分で提示し、興味を惹きつける。野球や大谷選手の凄さが分かっていない子供達のために、
・MBLが世界最高峰のベースボールリーグであること。
・2刀流で数々のタイトルを獲得していること。
・スポーツ史上世界最高額の契約金(10年およそ1015億円)でドジャースに入団したこと。
・グローブを全小学校に寄贈したこと。
・岩手県出身であること
などを伝えておく。
 大谷選手の素晴らしさは1時間で語り尽くせないほどであるが、あくまで授業の導入部分なので長くならないようにした。

挑戦を楽しむ原動力について考える

 動画「挑戦を楽しむための原動力(SEIKO)」を視聴し、大谷選手の原動力『目標を達成できた時の楽しさ』について感想を発表させた。ここでは、「すごい」や「確かに」と素直な呟きが出たため、「何がすごいの?」や「何が確かにと思ったの?」と問い返し、目標を達成したときに喜びが生まれることやその喜びがきっかけで次の目標設定を行う意欲が湧くことなどを確認した。

困難があっても挫けず

 高学年の学習指導要領には「困難があってもくじけずに、、、」となっている。このまま大谷選手のサクセスストーリーで終わると狙いに到達することができないと思ったため、大谷選手の苦悩について子供と一緒に考えた。「言語の壁」「怪我」「被災した」など、子供達から挙がってきた。
 その苦悩を乗り越えながら今の大谷選手があることを確認すると共に、それらの苦悩を乗り越えるための原動力が『目標を達成できた時の楽しさ』であることを確認し、原動力の大切さを確認した。

みんなの原動力は?

 次に、子供達の「挑戦を楽しむための原動力は?」と(中心)発問し、タブレット(オクリンク上)で共有した。その中で、「できた時の喜び」や「自分の成長を感じる」など内発的なものと「応援してくれる」「褒美がもらえる」など外発的な原動力で出てきた。そこで、2つに分け板書し、内発的な原動力と外発的な原動力があることに気づかせ、どちらも大切であることを確認した。
 そして、大谷選手のように自分自身をいつまでも鼓舞してくれるような『原動力』について話し合った。

終末

 振り返りでは、粘り強く努力した結果、記憶に残るような達成感が得られることに気付くことができる子供が多くいた。また、外発的な原動力があることから自分が応援できるような人になり、他者の原動力になりたいと考える子供もいた。
 終末の教師の話では、先生の「挑戦を楽しむための原動力」として、イチロー選手「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ1つの道」とスティーブ・ジョブズ「stay hungry, stay foolish」を紹介しつつ、一線で活躍する多くの人には、人それぞれの「挑戦を楽しむための原動力」があることを伝えた。

まとめ

「より高い目標を立て、希望と勇気をもち、困難があってもくじけずに努力して物事をやり抜くこと。」のできる力を求めてられている(学習指導要領)。そんな中、改めて大谷選手の偉大さに気付くと共に、このような生き方をモデルとしたいと感じた。

 道徳の授業としては、課題が多く残った。考え議論する道徳にはならなかった。大谷選手の原動力を始めに伝えてしまったことで「大谷選手=すごい、この考え方をモデルにすればいいのかな。」となってしまった。大谷選手の原動力を示す前に「大谷選手の原動力って何だろう?」と子供達に考えさせ、その中で「自分だったら?」と切り返し、議論させた上で、大谷選手の原動力『目標を達成できた時の楽しさ』を紹介する方が良かったと思った。

 また、褒美や応援といった外発的な原動力の良さを認めたことで、「褒美のために挑戦する」と振り返っていた子供もいた。「大谷選手のようにいつまでも記憶に残るような挑戦になるには?」と切り返し発問を行い、深まりのある議論にもっていくことが大切だと思った。

 やってみて多くの課題が残った。しかし、やってみたことで課題も見つかった。まさに、挑戦した副産物だ。この副産物を得るためにも様々な実践を考え行なっていきたい。また、参考になる指導案を下さったトモ(髙橋朋彦)先生にも感謝したい。

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