旅先で、お土産をたくさん買う人がいる。

私は元々友達が多くないということと、
自分がもらった時に、
気持ちはうれしいけどもらって少々困ってしまうということがあるため、
旅行に行く際は、あまり周りに吹聴しない。
だから買うお土産の量も、家族と仲の良い友達に少しだけ、ということになる。

けれども今回、初めて一緒に旅行をした友人は
行く先々で大量のお土産を買っていた。
その量たるや！
商業目的なの！？というレベルで、私は心底驚いたのである。

友人がどんなお土産を買っていたかというと、
ほぼ全部がいわゆる”ばら撒き型”のお土産である。
韓国旅行だったので、
韓国海苔とフェイスパック
その数なんと、100セットずつ！
南大門市場で、靴下も50足ほど買っていたし、
明洞でマスカラ数10本買い足すことも忘れていなかった。

それくらい普通だよ、と言う人もいるだろうか。

でも私は、度肝を抜かされた。
フェイスパック100セットをリュックに入れて
重さのあまり後ろにひっくり返りそうになりながらも、
明洞の街をまだ買うものがないかとウロウロする姿は、
お土産をほとんど買わない私からすると、
圧巻というか、もう驚嘆を超えてなんとも感慨深い気持ちになったものである。

どこに行っても、常に大量にお土産を買うので、
ちゃんと持って帰れるのだろうかと心配していたのだが、
嫌な予感は的中してしまった。
帰国日当日、出がけになって案の定荷物が入り切らないと言い出したのである。
そりゃあそうだろう。
おまけに格安で旅行したいということだったので、
飛行機はLCCだったものから、荷物の量も制限を受ける。
帰りの出国手続きの際、どう頑張っても規定以内に収めることができず、
結局追加手数料を払う羽目になった。

空港で手荷物がなくなって身軽になったものだから、
なんと、空港でもまた買い物をし始めたのである。
そこでもばら撒きのお土産を大量に購入していた……。

重いからあなたも持って！と言われ、私はお抱えのお手伝いさんのように
友達が購入した大量のお土産を持って、後ろをついて歩いた。
そして買い物に熱中するあまり搭乗時間に遅れそうになり、走る始末。

もうこの人とは絶対に一緒に旅行に行かない！！
心の中でひとりごちてなんとか溜飲を下げる。

飛行機の座席に着席し、ひと段落着いたのも束の間、
今度は機内販売で免税品の化粧品やハンドクリームを購入しているではないか！
そんな友達を見て、
私は呆れて終いに笑いが止まらなくなったのだった。

私は、お土産も自分のものもほとんど何も買わなかったけど、
友達はたくさん購入して、とても満足そうだった。

いろいろなタイプの人がいる。
友達のように、お世話になっている人に、
お土産を渡して日頃の感謝を伝える人もいるし、
私みたいに、好みではないかもしれないし、などと考え過ぎてしまって
気軽にお土産を渡せない人もいる。

ただ、友達は
人に喜んでもらいたい一心でお土産を買ったということは紛れもない事実だ。

家に帰って一息ついて、今回の旅を振り返っていると、
あまりに笑い転げるほど楽しかった思い出が多すぎて、
もう懲り懲りだったはずなのに、また一緒に行きたいと思った。

そう、お土産をたくさん買う人には、そんな不思議な魅力があるのである。