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パン一枚分の気持ち エッセイ・とんぼ

エッセイ・とんぼ  < パン一枚分の気持ち >

写真は熟した柿を食べに来たメジロです。
メジロはとても懐っこく、近くに私の気配があっても
水浴びをしたり、花の蜜や柿やみかんを食べています。
くちばしで突くと熟した柿にはぽっかりと穴があき
きっと顔中に柿の匂いを漂わせながら飛んでいるのではないでしょうか。
スズメ達は警戒心が強いですから人間の気配を感じると反射的にバタバタバタッと飛んで離れてしまうのが少し寂しいのですが。
最近、我が家に来てくれるスズメの群は、離れていく距離が少しづつ縮まっている気がします。
「パン持ってきたよ〜」と話しかけると
「チュンチュン」とみんなで何か話し合っている様子です。
私が部屋を離れている間に、ちぎって置いていたパンを全部食べてしまっています。可愛いです。
でも、2階のベランダに上がって来て私の方を覗いているスズメが2羽。
あらま、私がココにいるって分かっているのかな。
ご近所をお散歩をしていると、きっと我が家にも来る群だと思われるスズメがお隣さんやそのまたお隣さんの花の蜜を求めて飛び交うのを見かけます。
下の息子に「ほら、うちに来てる鳥がちゃんと他所の家にも食べる物を見つけられていて良かったよね」と言うと
「ねー」と耳たぶをふんわりと真っ赤にした息子もその姿を目で追っています。

私は車にも乗りますし、エアコンも使いますし、食べ残した残飯があればゴミ出しします。
自然界に沢山の迷惑をかけて生活させてもらっています。
ほんの僅かでパン一枚分ですが。
気持ちをお返ししたいのです。
もちろん、使う水や電気を自分勝手に使うことを控えながら生活したいとも思います。
それに、勝手ながら友達になった気分なのです。
窓の外でチュンチュンチュン、チーチーと呼びかけてくれています。

鳥や植物は美しく可愛らしく慎ましく清らかに生きていて
私たち人間の心を癒してくれます。
さらに鳥は蜜を飲むだけでなく花粉を身にまとい至る場所に新たな命を運んでくれているのです。

このメジロ、今年は一匹で来ることが多いのは何故なのか気になるのです。
今までは2匹一緒に来ていたのですが。
私が気づかないだけで2匹一緒にいるのでしょうか。

昨日、今日と全国的にとても寒く、外はごうごうと音を鳴らして
暗い風が流れて行きます。
メジロやスズメはどうしているでしょう。
強い風を凌ぎながら目を閉じて眠っっているのでしょうか。
早く太陽の日差しが重たい雲の隙間から登ってくるのを待っています。


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