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孤独の価値

孤独の価値 森博嗣 さて例によって森博嗣にはまっている。 森博嗣のエッセイほど辛辣に、鋭く冷静に、自分が日頃モヤモヤとなんとなく考えていたことをつらつらと言葉で表してくれるものは現時点ではない。そう、そうなんだよ、とこういうことが言いたかったのか、と共感と納得するのである。一読者が共感したところでだから何だという話でもあるのだが。 孤独、つまり思考の余地を意図的に作ってあげることで創作活動がしやすく、思考が自由に軽くなるのである。この本の前日に「集中力はいらない」も読んだ

    • 雷轟と猫

      雷轟と猫 藤原七瀬 YouTubeチャンネル、「ナナオは立派なユーチューバー」で活動中の大学生ユーチューバーによる著書。 彼のYouTubeチャンネルをたまたま拝見したのがきっかけだった。 声優オタクとして声優あるあるや出演しているアニメ作品などについて恐ろしいほどの早口で語りまくっていたのが印象的だった。初見なんだこのめんどくさくて性格の悪そうな人は、と思ったのをよく覚えている。(すみません) というよりも性格や思考の歪みようが見ていてエンタメとして面白い反面何故こんな

      • だれでもデザイン

        だれでもデザイン 山中俊治 東京大学教授かつSuicaの改札機で有名なプロダクトデザイナー、山中俊治による中高生へ向けたデザインの教室をまとめた一冊。 私は彼の大ファンだ。 何故なら彼の知識は知的好奇心を存分に満たしてくれるから。 基本的に物理学や生物学など強く興味を惹かれるのは理系分野や研究者の方が多いのだがこれはおそらく芸術畑にしかいたことのない私がこれまで触れてこなかった世界だからだと思う。何故本を読むのか、何故ネットの海に溺れがちなのか、何事もハマりやすく飽きやす

        • 推し、燃ゆ

          推し、燃ゆ 宇佐美りん 21歳の現役女子大生による芥川賞、本屋大賞受賞作。 既に読了して手放してしまったため思い出しながら書いている。 店頭で鮮やかなピンクの表紙に惹かれた。 どうやら「推し」文化にまつわるお話らしい。現代のポップカルチャー的内容であれば通常よく使用されるのは丸ゴシック系のフォントだが表紙タイトルに使用されているのは堂々とした明朝系。色も赤というこれではまるで時代小説や歴史小説ではないか!そんな違和感からつい購入。 何を隠そう、これは紛れもなく現代を描いた

        孤独の価値

          アンチ整理術

          アンチ整理術 森博嗣 「スカイクロラ」「全てがFになる」で有名な森博嗣によるエッセイ。 タイトルから人の悪意を気にせず自分らしく生きるための思考法、少々前に流行ったミニマリスト界隈の整理整頓術とアドラー心理学を解説した「嫌われる勇気」的な内容を書いているのだろうと思っていたが違った。美容室の直前に何か読むものをと慌てて買ったため読み始めて驚いた。冒頭整理術とはそもそも必要なものなのかと前提を覆すことから始まる。つまり「アンチ」を整理する、のではなく「整理術」をアンチする本

          アンチ整理術