散歩

散歩とはリフレッシュできる行為であり、字からも分かるように歩くことでストレスを発「散」できる。
ここはストレスが可視化できる世界で考案はベンサム先生。ベンサム先生の考案がバズり、世界中に広まった。
最大多数が幸福であるために、罪を犯した人間にはストレスを押し付けることができる。今日も120押しつけられた。ストレスが多すぎるが故に、他人に対する軽蔑の念、怒りなどによって何にも関心を持てなくなってしまった。こんな自分が嫌だと何回も思った。でも自分ではどうすることもできないもどかしさにまた腹が立ち、また今日も眠りにつく。ある日、1日外出券というありがたいチケットをもらい、手錠はつけられたものの外の空気を浴びることができた。何に対しても疑心暗鬼では鬱気味の私にとってなんの興味もないイベントであったが、仕方がないので外に出た。すると、皆なぜか笑顔でそこら中を歩き回っている。
そして、ストレス値がそれに比例して著しく減少し、自然な笑顔になっていく。本当に驚いた。これは一体なんだと監視官に聞くと、
「黙れ!!!!!!!!!!!!」と言われてしまった。それもそうかと思いつつ、さっきのストレス値の減少が気になっていた。それも一睡してしまうとやはり忘れてしまって、今までの生活に元通りだ、。
なぜみなのストレス値が減っているのに、ストレスが彼に押しつけられるのか。それは、散歩という概念を知らない人々がストレスが多い時、保健所に申請すれば刑務所にストレスを送れるためである。
彼は今日も、そんなことも知らずに苦しみ続けている。
実によくできた社会である。


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