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盗撮する男、盗聴する女 魔物を喰らう家 憑き物使い 序ー1 犬神編

私は、運が強いと思って生きてきた。

子供の時は、友達が持っていたお菓子が欲しいと思えば
親が買ってきてくれたり、自転車を同級性が乗っていたら
家の前に置いてあったりした。

友人の彼氏が、欲しいと思えば、友人が亡くなり
私のものになった。

私は、どうして望んだものが手に入るのか、不思議だった
親からは、運が強いからと聞いていた。

そんある日、大学の講義の終わりにこんな事を聞いた、
なんでも、その家の中には、特別な物があって
それに願いごとを言うと、何でも叶うらしい。

その家はかなりの資産家で、そこに住む夫婦は
働かずに若いうちから、家に籠ったままで
でも毎日のように宅配便が来て
沢山の荷物が届いてるんだって。
羨ましいよね、
私は、それを聞いたとたん、物欲センサーが反応した。

凄く欲しい。
私は、この状態になると,
2.3日で欲しいものが手に入る。
家に戻ると、母さんが居なかった、これはいつもの事。
物欲センサーが働いた後は、母さんが良く留守をする
もしかして、母さんが私の欲しいものを、用意してくれてるのかと
思ったことがある、でも友人の彼氏が欲しいからと言って
人殺し何てしたら、警察にすぐにばれるよね。
両親が私のために動いている説は考えない事にしていた。

その日は、母さんが帰ってこなかった
次の日の朝、父さんが私に、「何か欲しいものがあったのか
何が欲しかったんだ?」
私は、何も考えずに、願いが叶う何かの話をした。
そうか、今日は私も遅くなる、そう言って出かけた。
この日から父さんも帰らなくなった。

二人が同時に理由も無しに、居なくのるのは、おかしい。
感が告げている、あそこだ、あの家が怪しい。
あの願いが叶うというお宝がある家の住所は聞いていた。
どうやら隣近所だけでなく、この校区の人は皆知っているそうだ。

はじめて、自分の欲しかった物ために、自ら動き、探がしてみると
すんなり見つかった、
大きな屋敷で庭も大きく、取り囲む壁にそって歩き始めると。

正面の入り口から歩き、左の角を曲がったあたりから
なんだか、人の声が頭に直接響くような感じがした。

「ここに来ては駄目よ、沙羅。」
母さんの声がするではないか

どうしてだめなの?心の中で強く思う
「ここにあるよ、沙羅。」
父さんの声だ。

私は、この家の塀がかなり高いことに、いらだちを覚え
正面に周ったが、大きな門があるだけで
屋敷の中は、庭の木一本見えることは無かった。
この位置からは、何も聞こえない。

元に戻ろうとすると、一匹の真っ黒な犬が
立ちふさがったのにも関わらず、一つも恐怖を覚えなかった。
しかし、犬が私に向かって来た
そして、咬まれると身構えたが、その大きな黒犬は
まるで、漫画やアニメの様に私のなかに消えて行った。
そこから、私は意識が遠くなって倒れ込んだ。

気が付くと、ある人に声を掛けられていた、「大丈夫かい、あんた高崎さんだよね」
そのおばさんは、何故か私のことを知っていた。
ためらうことなく、私の家の秘密を語り始めたのだった。

あなたの家は、犬神筋だった。

これは、私の村、私の家に伝わる昔ばなし
でも、現実に私の所へ、あなたの所の犬神が来て
あなたにこれを届けろと言って来たのよ。
取り合えず先に話しておくから。

そうね、明治の頃の話になる
憑き物筋という血筋あるが
犬神付き、オサキ、お外道様、狐、蛇
人には本当に色んなんのが憑く。

しかしながら、憑き物には
蟲毒に通じるものと
文字通りの憑き物がある。

昔の人は信じやすく、頑固で
神様や、仏さま、あるいは鬼や祟りを大変恐れた
実は、それ以上に恐ろしいのは人であった。

人が鬼がなるのか
鬼が人か
見わけもつかぬほどに
一つなれたのであった。

月の明かりも無い真っ暗で
シーンと静まり返った、深夜に
とある山奥の集落の一軒だけ明かりがついている
家があった。

その家の囲炉裏を横にして
一人の老婆と50過ぎ小太りの男が
お互いが正座し、膝がぶつかるほど
まとまって
何かに聞き入っていた

そして、それはまず
老婆の耳に届いた。

「あれが欲しい
これもほしい。
何で家には無いんでさ、」

子供の声にも、大人の野太い声にも
所々に変化するまさしく
この世のものとは思えぬ
気味の悪い声が聞こえる。

「欲しい、ほしい!」
「あの家も、あの着物も
人のものが、うらやましい
妬ましい!!」

「淋しい、さびしい
あそこの家にあるんで
のどが手が出るほど」
「おいでおいで
冷たいの~。」

「あの家は、夜になるとしゃべるんけ
耳を澄まして、じっとしとると
ほら、今日も聞こえる、よう聞こえるでねぇか。」
村の最年長の老婆、ときがしわくちゃな顔をさらにしかめて
そう、言った。

正面に座していた徳兵衛が神妙な顔持ちで耳に手を当て
耳を澄ますと
最初は。小さく、だんだんと何をいってるのか解ってくる。

「欲しい、欲しい、さびしい、淋しい口がさびしい
腹ががらんどうじゃ、食いてぇ~、食いてぇ~
ここの食いもんは冷てぇ、温かいもんが食いてぇ~。」

「やばい、本当に聞こえる」

「はじめて聞いたけ、しかしこれが聞こえるちゅうことは
犬神様がここに食らいつきに来るいうことじゃけ
あきらめて用意をすぐに始めるしかないけ。」

「これ、ぎん自慢話したらあかん
あんた学校でもそんな話しとったか
いつも言うとるやろ。
高崎の狗神様は欲しがりや
もの貰って自慢なんかしとると
狗神様が取りに来るで。」

良く見れ、よく聞け、聞こえるじゃけー、あの家から。
そう話していたのは、今は、居ない、ぎんの母親だった
狗神の声が聞こえるのは
この集落ではときだけでは無かった。

高崎家の周辺では7件ほどあって
いつも、狗神さまの標的になったいた
何故か狗神様は、すぐにはやってこない
3日ぐらいは余裕があるのだが。

そして、昔から女性だけが
声が聞こえる。
狙われた家の女性の誰かに
あの声が聞こえるようになる
とされていた。

高崎家の真向かい
中村徳兵衛の家には、現在女性は居なかった
そう家には自分と、26歳になった
息子のぎんだけだった。

それでも、聞こえる
何としたことか、男の儂にも聞こえる
それだけ、執念深いということだ、徳よ!
ときの目は、異様な輝きを放っていた
ときに、おめぇ、お供えもんは用意できるか?
むちゃ、言うでね、俺は農作で生きてきた。
鉄砲も罠も持ってない。

だば、早速明日、隣の村の重徳じぃに頼んでみな。
この手紙さもって、あとお金は幾らか持って行って
足りんようだったら、あとで持っていく
そう言って明後日の朝には用意して貰うんだよ。

あそこは、猟師の村だべ、間違いなく用意はできる
明日早う出かけなさい

この後、生贄の鹿の肉が供物して出され、落ち着くことになる。

狗神持ちとして知られる高崎家。
20年前、その家の最後の生き残りである高崎うね90歳が何かに呼ばれるようにして村をさまよい歩き、姿を消した。
その後、その家の周辺では狗神様の声を聞くことができるという噂が広まった。
この声は女性にのみ聞こえるとされ、狙われた家の女性にだけその声が届くという。

この続きがあったのよ、ぎんの娘の私にも、時折声が聞こえたのよ
でも、私たちに向けてのモノではなかったら特に気にしていなかった。
でも、おかしいと話していた、その理由は、20年前の最後の一人が失踪し
高崎家の人はもう居ないはずと。

所が、先日に私の前に、この風呂敷を抱えた、大きな黒犬が現れて、これを届けよ、逆らうことは出来ぬ、そう言って強引にここ迄連れて来たのよ。
行き先はひとつずつ、曲道を教えて貰って、迷うことなくここまできたの。
そうあなたは、高崎家の縁の犬神持ち、この血筋から逃れることはできないのよ。」
「さぁ、早く受け取って、私はこれで帰るから。」
風呂敷を受け取って、さっさと自分の車乗り込んだ、ぎんさんの娘は
まるで、何も無かったかのように、車を走らせた。

ポツンと道端に残された私は、風呂敷の中身が気になった。
「ようやく、我が身が手元に来た。
沙羅よ、この家には関わってはならん。」頭に声が響く。
父さんに、母さんの声が聞こえたのにどうして?
「残念だが、お前の父母は戻らぬ。」
「教えてよ、この家に入ったの?」
「話せば、戻れぬ、もうこの話はするな。」
「じゃあ、これ捨ててもいいよね。」と風呂敷を視る。
「家に戻れ、父母そして、この家の事は忘れろ
そうすれば、またお前の欲しいものが手に入るようになる。」

私は、必死に考えた私には犬神?が付いていて、私が欲しいものを母さん、父さんが用意してくれていた、犬神の力を借りて、
今日は、一度返って、私が何が出来るか確かめるしかない、
この犬神を上手く利用して、父さん、母さんを取り返す
そう心に決め、家に戻ることした。

数日後、私は、あの家に入り込んでいた、そして建物の隣で耳を澄ますと
やはり、聞こえる。
父さん、母さんが助けを求めてる。あるいは、絶対にこの家には近づくなと警告をしている、声がする。

犬神は、言った、満月の日を待て、そして、私に、供物を供えよ
さすれば、この家に入る力がみなぎる時が来る。

満月まで、あと8日、犬神を信じるならその日まで
毎日、あの家に忍び込み、聞き耳を立てることになる。
なぜなら、他の、情報も入って来るからだ。
あらゆる願いが叶う、饕餮(とうてつ)の銅板があることを
私の目的はいつの間にか、この饕餮の銅板に夢中になっていた。

満月が、近づくと、次第にこの家を訪れる、人らしきものが増えてくる。
恐らく、あの銅板を奪いに来た、私ような力を持つ人外を
出し抜いてあの銅板を手にすると思うと、嬉しくなり
供物に捧げる鹿肉に噛り付いていた。

満月の夜
ついに、あの家に、凶眼の男、犬神の女、呪符屋、憑き物使いが、揃う時が来る。

続く


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