詩 真逆の波形

今日もすれちがった
逆光の影になって
表情がつかめない
その人の背後の窓が
明るすぎて
私はうつむく
なぜなら眉をひそめてしまうから
いつも会うのはこの角度
階段ならば私は上り
その人は下り
廊下ならば私は南へ
その人は北へ
二人とも同じほうを向いて
笑いながら手を洗ったときもあったのに
あるときその人が少し先に去って
私が少しあとに去っただけ
わずかなずれ
微調整すれば
また重なると思っていた
けれどその人と私の波形は
いつの間にか山と谷が真逆に
かっちりと固まって
ずれがないから
いくら経っても重ならない
身動きがとれない
会えばうつむくのが精いっぱい
それは一瞬の接点を
ピリオドにしないため

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