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【03】ライオンのおやつ/小川糸

「今を生きる」を考える。

『ライオンのおやつ』小川糸作(ポプラ文庫、2022)

最近、インスタグラムでよく見かけていたこの作品。
書店で見かけて、つい購入。

ポプラ文庫、とっても好きな出版社の1つです。
本の作りがしっかりしている(少し硬め?)な所とか
本文の文字が他の出版社のものよりも少し大きなところとか。
こだわりを感じますし、面白いな~と思います。

さて。
この作品を読み終えて、「今を生きる」ことについて、改めて考えることができました。
正直、「死生観」とか「人生の過ごし方」とかを諭してくるような本ってあんまり得意じゃなくて。胡散臭くて胃もたれしちゃう…(笑)それはきっと、今も変わってません。
だけど、不思議とこの作品は抵抗感なく読めた気がします。
それだけ、自然な文章を書かれているということなのか…。

作品には、多くの「死」が登場しますが、どの「死」もあたたかく描かれています。
「あたたかい死」ってなんだか矛盾しているような表現ですね(笑)
ただ、人生の最後を迎えることが、少しだけ、怖くなくなりました。

何が大事かって、今を生きている、ってことなの。自分の体で、感じること。目で見て感動したり、触ったり、匂いを感じたり、舌で味わったり。そういうことが、今のお母さんには、とーっても懐かしいわ。体がなければ、できないことがたくさんあるから。

『ライオンのおやつ』小川糸(p202)

それと同時に、
「人生の最後をあたたかく迎えられるように、今を懸命に生きよう」とも思いました。
来るその瞬間に、「自分の人生、案外悪くなかったな」と思えるように日々を過ごしたいな、と。
会いたい人に会う、美しい景色を見る、美味しいものを食べる、好きなこと・趣味を謳歌する、人にやさしくする…仕事も頑張る……。

当たり前のことですけど、これらは生きているうちにしかできません。
「今を生きる」ってそういうことだと思います。

そして、そんな風に考えられること自体が幸せなんだ、ということも忘れないようにしたいです。

幸せというのは、自分が幸せであると気づくこともなく、ちょっとした不平不満をもらしながらも、平凡な毎日を送れることなのかもしれない。

『ライオンのおやつ』小川糸(p5)

余談ですが、僕は星野源さんの『生命体』という曲が大好きです。
毎朝、通勤電車で揺られながら聞いています。
こちらの楽曲も「生きる」がテーマになっていますが(僕の勝手な解釈)
そのこともあって、リンクする部分もあり、なんだか不思議な感覚になりました。

聞いているとパワーがみなぎってきて、本と同じくらいおすすめです。
『生命体』についての記事も別で書きたいな。


星野源 『生命体』 YouTubeより


では!



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