「い」抜くか、「ら」抜くか、それが問題だ。

 たとえば僕は、女性が「~だけれど」という表現をするのが何とも言えず好きだったりする。
 「だけど」、ではなく、「だけれど」。

 そんなものだから、二次創作小説を嗜む存在としてはついつい、好きな女性キャラにも「~だけれど」と言わせたくなってしまう。

 しかし残念なことに、原作のセリフで「~だけれど」と言っているキャラは少ない。
 そんななかで強引に「~だけれど」を使わせると、途端に、そのキャラ「らしさ」が失われてしまうような気がしてしまう。
 この感覚に気づいてから、僕は安易に「~だけれど」を言わせられなくなってしまった。

 ……そもそも、セリフは通常、口語なのだから、口語表現である「だけど」のほうが適切なのかも知れない「けれど」。

 「い」抜き言葉と、「ら」抜き言葉。
 これらは、日本語を操る人種たちの間では長い間タブー視され、逆にやらかすと、鬼の首をとったように指弾されてしまう、そんな存在のように日々感じている。

 とくにWordなんかで文章を打つと顕著。
 即座に色線を引いて教えてくれる機能のおかげで、気づいた時には、ディスプレイが赤と青の線虫だらけ。実に目障りである。

 ……”ありがた迷惑”って単語を辞書登録して進ぜよう。
 ”あ”、って入れるだけで一発変換だ。
 便利だね!!
 よっしゃぁ!!!

 ……いかん脱線した。
 閑話休題。

 僕自身も、テレビや雑誌などで「い」抜き「ら」抜き言葉を見かけると、

 「はいはい”食べられる”、ね」
 「”してます”? ”しています”じゃなくてか?」

 などと、実にウザってぇ事を考えてしまうしツッコミたくなる。

 ……字面に起こすと本当にウザったく感じるなぁ。
 ああ、嫌だいやだ。

 しかし現実問題として、原作で「い」抜き「ら」抜きでセリフを語られることは本当に多い。

 二次創作の鉄則は、”原作を破壊しない”ことにあると、僕は思っている。
 思ってしまっているので、原作で「い」抜き「ら」抜きをやられると、僕はそれに従い、「い」抜き「ら」抜きの言葉を紡がざるをえないわけで。

 そしたらやはり、日本語というものに精通しきった”先生方”が、黙ってはいないわけでして。

 ……ああ、嫌だいやだ。
 「い」抜くか、「ら」抜くか、それが問題だ。

 

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