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【100文字小説】受験勉強

ノートによだれの水たまり。 どうやら寝落ちしてしまったらしい。 起き上がる肩に、毛布が掛けられていた。 「期待に応え、なきゃ」 夜食に手をかけるも、食欲がわかない。 僕は、誰の希望を叶えようとしているのだろう。

    • 【100文字小説】find.

      「娘が見つからないの。探さないと」 認知症が進行し、母はとうとう、私を娘とすら認識しなくなった。 「困ったわ。夕暮までに見つけないと、あの娘泣いちゃうから」 狼狽する老女に、けれど私は、お母さんを見つけた。

      • 【100文字小説】後悔

        大震災があったn年前、全財産をなげうって被災地に支援物資をとどけた。 お忍びでいったつもりだったのだが、ネット上で拡散されて、”聖人”とまで呼ばれた。 俺は後悔した。 今年も、全財産をなげうたなきゃならん。

        • 【100文字小説】雪だるま

          俺の帰宅を阻む、大・小・中。 玄関前に陣取っている雪だるま達は、家族を模しているらしい。 雪だるまの裏から、小と中の笑い声。 今何時だと思ってんだ。 疲れの言葉を飲み込み、いそいそと大きい雪だるまに変身する。

        【100文字小説】受験勉強

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          【100文字小説】あの道を歩き続けて

          年越し蕎麦を啜りながら、液晶テレビの向こう側で熱唱する親友のことを思った。 かつては肩を組み、同じ道を歩いていた。 目の前で、妻と娘が蕎麦を啜った。 あの道を歩き続けてこの幸せに会えたか、僕には分からない。

          【100文字小説】あの道を歩き続けて

          【掌編小説】大河の一滴

          “ 轟々と流れる大きな河から、水飛沫が、あがる。  水飛沫のうちの、ほんの一滴が、私。  私がどこに飛んだとしても、その行方をいちいち追う人なんか、居やしない。  私が居なくなっても、誰も困らない。 ”  消えてしまいたい辛さを抑えきれぬあまり、思わず noteに垂れ流してしまった。  少し経ち、頭のなかを否定されるかもしれない、という恐怖心が膨らみ、削除しようとスマホを手に取ると、測ったように電話が鳴る。  画面をみて、思わず額に手をやり、ため息が出てしまった。  今、も

          【掌編小説】大河の一滴

          【アイマスSS】千早「……‟幸せな夢を見る呪い″、ですか?」

           ――目の前で、幼い女の子が救いを求めるような、か細い声ですすり泣いている。  その子に手を差し伸べようとして、目が覚めた。 「千早……?」  その女の子は、千早だった。  上半身だけ起こし、露わになっていた肢体をシーツで隠したまま、両手で顔を覆い、静かな嗚咽を漏らしている。 「! ……すみません。起こしてしまったようですね」  僕の様子に気づくと、気まずそうな声色で慌てたように、目元をぬぐった。 「いや、それはいいんだけど」  と、千早の顔を覗き込み、目尻でまだ

          【アイマスSS】千早「……‟幸せな夢を見る呪い″、ですか?」

          【100文字小説】One more time

          恵さんのことは愛していたけれど、キスだけはなるべく避けてきた。 もう1回、もう1回してと、キリがなかったから。 でも今は後悔している。 あと1回だけでも、恵さんに触れたいと。 その願いは、もう一生、叶わない。

          【100文字小説】One more time

          【100文字小説】ききゅう

          帰休兵である樹木優はぼんやりと、忌休日を過ごしていた。 すると1本の電話が入る。 「危急存亡の事態だ樹木君! あの国がとうとう攻めてきたぞ! 至急軍に戻ってくれ!」 希求が叶い、樹木優は気球へと飛び乗った。

          【100文字小説】ききゅう

          【20字小説】舞台上の表現者

          演者の仮面を被り、君は本性をさらけ出す。

          【20字小説】舞台上の表現者

          【小話】女子(川柳)会

          「このチョコほんと美味しいっ!」 「ちょっと、今日食べ過ぎじゃない?  何、もう”あの日”?」 「イエス。もう食べなきゃやっとれんわ」 「あー。でもそうだよね……」 「ここで一句。  ”生理中 イライラ先か 食べすぎ先か”」 「……いや、めっちゃ字余りwww」 「でも分かるwwwんでデブッて悲しくなってまた食べるwww」 「なら私も一句。  ”鍋でいい だったら君が 具材切れ”」 「それ! 私も思ったことある!」 「でしょ? きのう体調悪いって出前頼もうとし

          【小話】女子(川柳)会

          【BOSSのCM×アイマス】定年退職 編

          ※:【BOSSのCM×アイマス】シリーズの完結編です。  先に以下の作品を読んでおくと、よりお楽しみ頂けるかと存じます。 【BOSSのCM×アイマス】天海春香 編 https://note.com/nice_lily470/n/n84a27d3f2dda 【BOSSのCM×アイマス】百瀬莉緒 編 https://note.com/nice_lily470/n/nc7efc8deb068 【BOSSのCM×アイマス】夢見りあむ 編 https://note.com/nice_

          【BOSSのCM×アイマス】定年退職 編

          【短編小説】友達はそのためにいる。

          「もう泣くな、太一。  お前をイジメたやつらは、俺がやっつけてやったからよ」  未だべそをかいたままの僕を、剛くんが肩で担ぎ上げた。  河原の水音が、少し遠くなる。  丸いけど、おおきな肩だと思った。  触れた部分がちょっと熱くて、すこし汗臭い。 「お前、軽いな。  ちゃんと、食べてっか?」 「食べてるよ……」  中学生と間違われるくらい大きくてごつい剛くんからすれば、そりゃあ僕は軽いだろう。 「いつもいつも、助けてもらって。本当に、ごめん」  自分が情けなくって

          【短編小説】友達はそのためにいる。

          【掌編小説】視線のキャンバス

           ゆっくり動けば太い線。  はやく動けば細い線。  視線認証アプリを用いて、私は、”私の世界”を描く。  それが、役立たずの肉体から発することの出来る、唯一の”声”だったから。  ……ときは経ち、”世界”は増えていく。  すると、折り重なったカラフルな線と点の向こうに、たくさんの笑顔が見えた。  鳴りやまない拍手が、聴こえた。  嬉し涙は流さない。  アプリが認識して、雑音になってしまわないように。  ただ、浮かび来る真摯な気持ちだけを、“視線のキャンバス”に映した

          【掌編小説】視線のキャンバス

          【BOSSのCM×アイマス】高槻やよい 編

          ――この惑星には、働く者に感謝を表す日があると聞いてはいたが……。 長介「ごめん姉ちゃん! きょう勤労感謝の日だったから、俺たち、その……」 かすみ「私が悪いの! がんばってるお姉ちゃんに、少しでも休んで欲しかったから。私がみんなに声をかけたの!」 浩太郎「……俺だって。……“いつもありがとう”って、言いたかったし……」 (ドロドロの台所とぐちゃぐちゃの料理) ガラッ! 宇宙人ジョーンズ(プロデューサーとして地球調査中)「 シャチョウカラ ノ サシイレ デ……」

          【BOSSのCM×アイマス】高槻やよい 編

          【20文字小説】肯定

          『死にたい』にスキが付いた。死ねってか。

          【20文字小説】肯定