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「日常」と「非日常」、「生」と「死」、「人間」と「人外」、「僕」と「あなた」


スイカに塩をかけて食べる人がいるらしい。
塩によってスイカの甘さが際立つのだという。
他にはワインビネガーやタバスコ、味噌が合うんだとか。
僕はスイカが好きではないので食べないが、気になる組み合わせではある。


ある人は言った。
「日々、私たちが過ごしている日常は実は奇跡の連続かもしれない」と。


僕は「日常」の中に紛れ込む「非日常」が好きである。
「非日常」の中にありながら、それでも「日常」を営む作品が好きだ。


例えば、星新一。
僕たちが今いる世界からちょっとずれた”すこしふしぎな”世界で、僕たちと同じように日常を送る姿が描かれた作品が多い。


例えば、コウイチtv。
僕たちの日常を独特な視点で切り取ってみたり、SF的な設定が付け足されたどこか非日常な雰囲気をまとった作品が多い。


例えば、『あつまれ どうぶつの森』。
キャラクターも世界も現代を生きる僕たちにとっては非日常だけど、そこで行われているのはまぎれもなく日常である。


ある人は言った。
「人間は誰でもいつかは死ぬ。だから、みんな一生懸命生きるのよ」と。


僕は「生」と「死」が同居した作品が好きである。
「死」があるからこそ、「生」が輝くと言ってくれる話が好きだ。


例えば、『終末のフール』(伊坂幸太郎)。
小惑星落下による人類滅亡が迫る中で、それでも今日を生きる人々が描かれている。


例えば、『銀河の死なない子供たちへ』(施川ユウキ)。
人類が滅亡した星で、永遠の命による終わらない日々を過ごす姉妹の日常と探究が描かれている。


例えば、ドラマ『アンナチュラル』。
主人公達が向き合っているのは”死”だが、そこから現在を生きる人の”生”へと繋がっていく様子が描かれている。


ある人は言った。
「人間は論理じゃない。感情の生き物だ」と。


僕は「人間」と「人外」が交流する話が好きである。
「人間」との出会いによって「人外」が変わっていく様が好きだ。


例えば、『ウソツキ!ゴクオーくん』(吉もと誠)。
人間を愚かな者ばかりと考えていた閻魔様が、ある少女との出会いをきっかけに現世で人間を知っていく作品である。


例えば、『破壊神マグちゃん』(上木敬)。
上位存在であるマグちゃんと主人公である少女・流々との日常と交流が描かれた作品である。


例えば、『優しい死神の飼い方』(知念実希人)。
人間のことを醜いと考えていた死神が、犬の姿で地上に左遷されたことをきっかけに人間と交流していく作品である。


「日常」と「非日常」、「生」と「死」、「人間」と「人外」。
これらは全て”対比”である。
僕を含め、日本人の大体の人は対比が好きなのではないだろうか。
わびさびや余白。
異質なものがあえて同じ空間に存在していることで見えてくるものがある。
それはまさに、スイカに塩をかけるのと同じように。


こうも言える。
「日常と非日常」も「生と死」も「人間と人外」も表裏一体のものであり、片一方を描こうとするのならば必然的にもう片方も浮かび上がってくる。
切っても切り離せない相補的な関係にあるのではないか。


そして、人間もまた”対比”だといえる。
完全な人間などいない。
誰しも欠けた部分があり、いろんな人とパズルのピースのように関わり合いながら生きていく。
他者がいるからこそ自分が生まれる。
「僕」という存在を確かなものにしてくれるのは「あなた」がいるから。


ある人は言った。
「人間は自分にないものに魅力を感じる」と。


またある人は言った。
「恋愛の本質は失恋。相手が目の前に現れたことによって、自分の半身を失ったような状態になる」と。


またある人は言った。
「ひとには魂の番(つがい)がいる。愛を注ぎ注がれるようなたったひとりの魂の番のようなひと。」


僕は「二人一組」が好きである。
双子、バディ、コンビ、カップリング…。
この世にはありとあらゆる二人一組が存在する。
これらもまた、切っても切り離せない表裏一体の関係である。
そこには自分の他には相手しかおらず、その二人だけの関係性が生まれる。
互いが互いを思い合い、互いを高め合う。
絶対的にその人でなくてはダメで、出会うべくして出会った関係。
自分の欠けたピースを埋めてくれる人。
たとえ「日常」が「非日常」になったとしても、「あなたとならいいよ」と言える人。


すべての始まりは”出会い”である。
「日常と非日常」も「生と死」も「人間と人外」も「二人一組」も事象と事象、人と人、人と事象の”出会い”から始まる。
今この記事を読んでくれている人とも、縁があって”出会った”といえる。
すべての出会いに意味がある、とよく言われる。
僕が上で挙げた作品たちに出会ったのも大切な意味があると思う。
そして、そういう風に感じられる人たちとこれからも出会っていきたい。


最後に、「生と死」に関連した僕の好きな言葉を。


ある人は言った。
「よく死ぬことはよく生きること。」

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