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一次救命処置(BLS)

養護教諭の教員採用試験を受けようとしている人は、必ず一度は勉強したことのある項目だとは思いますが、定期的に復習をし、実践できるようにしていきましょう。


復習

過去問

問1
一次救命処置(BLS)の胸骨圧迫に関する記述として「JRC蘇生ガイドライン2020」に照らして適切なものは、次の1~4のうちのどれか。

1、胸骨圧迫の部位は胸骨の下半分であり、強く早く絶え間ない圧迫が重要である。胸を押す深さは、小児では胸の厚さの少なくとも3分の1、成人では胸が十分沈み込む程度となっており、深ければ深いほどよい。
2、成人か小児かに関わらず、胸骨圧迫は1分間に150回以上のテンポで圧迫する。毎回の胸骨圧迫の後には胸を完全に元の位置に戻すため、圧迫と圧迫の間には胸壁に力がかからないようにする。
3、循環が残存する傷病者に胸骨圧迫を行うと、重篤な合併症が生じることがある。不規則または異常な呼吸があり呼吸停止の判断に自信がもてない場合は、気道確保を行った上で胸骨圧迫の開始に備える。
4、胸骨圧迫の中断は最小限にすべきである。心肺蘇生を行っている総時間のうち、実際に胸骨圧迫を行っている時間が占める比率を「胸骨圧迫比率」といい、60%以上となるように中断を短くして胸骨圧迫を続けることが推奨されている。

問2
AED(自動体外式除細動器)に関する記述として最も適切なものは、次の1~4のうちではどれか。

1、小学生にAEDを使用する場合には、過剰な通電量によって心筋障害を起こすことがないよう小児用電極パッドを使用するが、小児用電極パッドがない場合は、やむを得ない処置として成人用パッドを用いてもよい。
2、傷病者の身体が濡れている場合は、布やタオルで胸を拭いてから電極パッドを貼り付けるが、傷病者のいる床面が濡れている場合は、胸が乾いていても感電のおそれがあることから、電気ショックを実施する際に傷病者を移動させる必要がある。
3、電極パッドは右前胸部と左側胸部に貼付するのが妥当であるが、傷病者の状況によっては、2枚のパッドが重なることなく心臓を挟むように貼れば、胸の脇や背中などへ貼付位置を変えてもよい。
4、AEDは高い解析精度で自動的に心電図をチェックし除細動が必要かどうかの判断を行うが、電気ショックが適応となる状態には心室細動、無脈性心室頻拍、無脈性電気活動があり、心静止は除細動の適応とならない。

問3
次の記述の太字①~④のうち、救急の対応として適切でないものはどれか。

 小学校3年生の児童Aは、授業中、突然椅子から床に滑り落ちるように倒れた。倒れ た際、全身が震え、すぐにチアノーゼが現れた。その後瞳孔が開き、意識不明となり、 心肺停止が疑われた。
 学級担任の教諭Bは、校内電話をかけ、緊急事態が発生したことを副校長Cと養護教 諭Dに知らせた。電話を受けた副校長Cは、すぐさま救急車を要請した。養護教諭Dは AEDを持って駆けつけた。  
 養護教諭Dは、状態を確認し、AEDの蓋を開け、電源を入れ、児童Aは10歳未満で あるが、 ①胸部2か所に成人用電極パットを貼り、心電図の解析を始めた。心電図の解析 後、電気ショックが必要である音声メッセージが流れた。養護教諭Dは、 ②離れるように 周囲に注意を促した後、誰も児童Aに触れていないことを確認し、ショックボタンを押した。電気ショック完了後、養護教諭Dは、胸骨圧迫を開始した。約2分後に再度心電図の解析が始まり、電気ショックが不要である音声メッセージが流れたが、児童Aの反応がなかったため、養護教諭Dは、 ③胸骨圧迫を継続した。しかし、児童Aの様子に変化 はなく、学級担任の教諭Bと養護教諭Dは、救急隊が到着するまで、胸骨圧迫を継続した。  
 救急隊が到着後、養護教諭Dは、 ④AEDの電源を切った後、児童AからAEDの電極 パットをはがし、救急隊に引き渡した。学級担任の教諭Bは、病院へ同行した。

解答/解説


問1
答えは、4。
消去法で解く問題。
胸骨圧迫は、約5cm胸が沈む強さ(深すぎてもいけない)で、100~120回/分の速さで絶え間なく実施する。小児では、胸の厚さの1/3程度の強さで圧迫する。
<胸骨圧迫の合併症>
まれであるが肝損傷と医破裂が考えられる。しかし、いずれも通常胸骨より下の腹部を圧迫することで引き起こされる。また、十分な血流を供給するためには十分に深い胸部圧迫が重要であるため,肋軟骨の解離および肋骨骨折は,しばしば避けられない。
それでも、救助者は,これらの損傷を懸念して心肺蘇生の施行をためらうべきではない。
⇒つまり、「循環が残存する傷病者に胸骨圧迫を行うと、重篤な合併症が生じることがある」のではなく、正しい圧迫場所で圧迫しないと重篤な合併症が生じるのである。

問2
答えは、3。
1・2が不正解で、3が正解とわかれば、4は正しいかどうかがわからなくてもよい問題。

1:小児用電極パッドを使用するのは、未就学児のみ。
2:必ずしも移動させる必要はない。移動困難な場合は、傷病者の体をふき取り、パッドを貼る。
4:AEDで電気ショックの適応となるのは、心室細動と心室頻拍のみ。
<心停止となる4つの状態>
・心室細動:心臓が痙攣を起こし、不規則なリズムをとっている状態
・心室頻拍:心室が興奮状態になり、規則的なリズムをとっている状態
・無脈性電気活動:心電図波形はあるものの、脈のない状態
・心静止:心電図の波形は直線で、心臓が動いていない状態
無脈性電気活動と心静止の場合は、電気ショックはせず、ひたすら胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返す必要がある。

問3
答えは、④
AEDは使用できる状態で救急隊へ引き継ぐのが正解。


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最近はスポーツ救護ナースを目指して勉強中。
物資がない、周りにいる人が医療職ではない、傷病者の背景がわからないことが多いなど、養護教諭の救護活動とリンクする部分が多く、勉強になります。気になる方はぜひ。
日本スポーツ救護看護学会 (jssrn.org)


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