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水野シズク、入社一年目のフレッシュプロマネの挑戦 第一話

序章: 「配属」


配属

新入社員研修が終わり、ちょっぴりドキドキしながら、水野シズクはクオリゲート株式会社の新しい部署に足を踏み入れた。彼女が配属されたのは第二システム事業部、社内では「ニシス」と呼ばれている。少し特別感のある名前だけど、シズクにとってはまだ全てが新鮮で、少しだけ不安だった。

朝一番でオフィスに着いた時、彼女は新しい環境を目の当たりにした。コンピューターの画面が行き交い、どこか活気に満ちている。自分もここに属するんだって、実感が湧き始めた。

最初の仕事は、プロジェクトの一員として少しずつ業務を覚えること。シズクは心の中で、自分なりの小さな期待を抱いていた。学んだことを活かして、少しずつでも前に進む。これからの挑戦が、彼女を待っている。

田中との出会い

初日、総務部の優しそうな女性が、シズクを新しいデスクへと案内してくれた。ニシスのオフィスは、何となく未来を感じさせるような場所だった。私はそこに自分の荷物を置き、新たなスタートに少し胸を躍らせた。

その後、私は部署の責任者である佐藤部長に紹介された。「君は中堅通信会社、マイネットワーク社のプロジェクトを担当するグループで働いてもらうんだ。リーダーは田中君だよ」と彼は言った。田中は、50歳くらいで、何だか安心できる優しい目をしたちょっと小太りのおじさん。彼に向かって、「よろしくお願いします」と私は声をかけた。

田中は温かい笑顔でこう言った。「こちらこそ、よろしくね。実は、ここではみんな週に半分は在宅で仕事をしているんだ。だから、オフィスはいつもこのくらい空いているよ。」その言葉を聞いて、シズクはふとオフィスの席を見渡した。確かに、半分くらいの席が空いている。まるで夏休み中の学校のような静けさだ。シズクは心の中でひとり思った。「こういう働き方もあるんだな、ちょっと意外。」

仕事を始める準備

席に着いたばかりのシズクに、先ほどの総務の女性が声をかけた。「社員証の写真を撮影するから、こちらへどうぞ」。彼女はオフィスの隅にある白い壁のところへと案内し、タブレットを手にしてシズクの写真を撮る準備を始めた。壁はシンプルで、写真には何も余計なものが映らないように計算されている。

シズクは、少し緊張しているのが自分でも分かった。カメラに向かって、できるだけ自然な笑顔を作ろうとした。女性がタブレットのボタンを押し、シズクの新しい一歩が記録された。その写真は、3日後に社員証として手元に届く予定だ。新しい職場での最初の公式な記録、それがこの写真だ。

その次は、ノートパソコンの受け取りだった。ピカピカの新しいパソコンを手にして、シズクは自分の職場での新たなスタートを実感した。さらに、紙に印刷されたセットアップ手順書も渡される。午後3時までにセットアップを終えること。シズクは手順書を頼りに、新しい道具を使いこなせるよう慎重に作業を進めた。

業務内容の説明

パソコンのセットアップを終えたシズクは、ほっと一息ついていた。そのとき、田中が近づいてきて、「業務内容の説明をするから、305会議室に来てくれる?」と言った。彼の声は落ち着いていて、シズクは安心感を覚えた。

305会議室には、壁に大型の液晶モニタが備え付けられていた。広々とした部屋には、まだ新しさが残っている。田中はリモコンを手に取り、スライドを投影し始めた。シズクは注目して、彼が説明する業務内容に耳を傾けた。

スライドには、彼女がこれから担当するプロジェクトの概要、重要なポイント、そして期待される成果が丁寧にまとめられていた。

プロジェクトの概要

田中は305会議室で、冷静にプロジェクトの詳細をシズクに説明してくれた。マイネットワーク社は、通信業界に新風を吹き込む企業だ。OCD Japanが古い通信会社を買収して新しく立ち上げたもので、一切の店舗を持たず、すべてのサービスをインターネット上で提供している。

「我々のグループは、このマイネットワーク社の契約管理システムの開発を担っているんだ」と田中は続けた。基本設計を終え、詳細設計工程の途中にある。ユーザインタフェースの部分はアジャイル方式で開発しているが、バックエンドはウォーターフォール方式を採用しているという。

チームは15人で構成されており、内3名が会社の正社員で、残りはパートナー企業からのメンバーだ。プロジェクトの期間は全体で15か月。現在はその7か月目に差し掛かっている。

シズクの担当する役割は、会議の議事録作成と、田中が会議で使う資料の作成。そして、会議のスケジュール調整も彼女の仕事だった。田中は丁寧にそれぞれの業務について説明し、シズクは真剣にメモを取った。新しい役割、新しい責任。シズクはこれからの毎日がどんなものになるのか、少し緊張しながらも期待を膨らませていた。

つづく


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