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「いじめが起きたら警察へ」という通知、学校現場の状況を十分に考えているとは思えません。

文部科学省が「いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携等の徹底について(通知)」によって、児童生徒の命や安全を守ることを最優先に、犯罪行為として取り扱われるべき悪質ないじめについては直ちに学校から警察に相談・通報を行い、適切な援助を求めるよう要請しました。

いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携等の徹底について(通知)より抜粋

この表は、文部科学省の通知文の中にあるものを抜粋しました。
表の「暴行」や「強制わいせつ」については、明らかに加害者が意図して実行に移しているものですから、警察に通報することに異論はありません。

しかし、「傷害」は意図しているものでもありません。確かに刃物を持っている時点で意図していると言えるのかもしれませんが、学校現場の感覚からすれば大きな問題をはらんでいると考えます。

それは「あおり」です。

まず第一の問題として、弱い立場の生徒をあおって、感情的に高ぶらせたことについて、どう考えるのでしょうか。
確かに刃物で切りつける行為はよくありません。それを否定する考えはありませんが、「あおる」方にはお咎めはないのでしょうか。そこには、この通知文には言及されていません。

第二の問題として、同じようにあおったとして、殴る蹴るという暴力に至った場合も同じく「傷害」になってしまうことです。
殴る蹴るは日常的に起こりうることです。あおられて思わず手が出るということは十分に考えられます。

この通知が出たことで、殴られた側の保護者自身が気持ちが高ぶり、「警察に訴えろ」と保護者が校長に詰め寄る場面が十二分に考えられます。

また、被害児童生徒にも責任があるという考え方はあってはならず、「あなたが悪いのではない」 ことをはっきりと伝えるなど、自尊感情を高めるよう留意することとしており、ちょっと待てよ!という感じです。

「あおり」だって、いじめじゃないですか?

「あおる」という行為に対して、どう対処するのかまで、なぜ通知の中で言及しないのか。


ただただ行為だけを見て判断しており、真に弱い立場にある者を救うという視点が欠けている通知だと感じます。

校長としては、このことを保護者に通知する場合には、文部科学省の足りないところは補って、「あおり」もいじめと同等であることをしっかりと述べなければなりません。


校長は、保護者が行為だけを見て、”警察に訴えろ!”ということへ、予め釘を刺しておく必要があります。

https://www.mext.go.jp/content/20230207-mxt_jidou02-00001302904-001.pdf



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