スタートライン

高校の頃に詩を書くことを志し
仕事に繋がらない大学に行き
四年間詩を読んで学んできたあの頃
思えばずいぶんと幸せだったものだ

卒業してからかろうじて望んだ仕事に就き
書くこともしていなかった日々は過ぎ
知らぬ間に私も初老となり
中間管理職を謳歌していた

そんな今更ではあるものの
私はこちら側に帰ってきてしまった
書くことの苦しみ かなしみを
受け入れる覚悟ができたのだと思う

無言の日々を振り返れば
たくさんの別れ道があった
そして大きな後悔があった
忘れてしまえれば楽なのだろうけど

それでも葬ることのできない
行き場を失くした物たちを
忘れずに 意味を持たせていきたい
そのための言葉を輝かせるため

明日すら知り得ぬこの世界
今を積み重ねて生きる日々
その中で書き綴る言葉たちとともに
私にできることは少ないけれど

わずかでもこの言葉たちが
誰かの心に届くことを夢見ている
こんなみすぼらしい人間でも
生きようとしていると伝えたくて

そう 私は生きていくんだ
そしていつか詩を書いていく
見つけてくれた誰かの中で
生き延びていけたらいい

さあ 今年も終わってゆくから
新しいスタートラインが輝く
来年はどんな年になるだろう
ただ今はあなたの幸せを願うばかり

もうすぐ新しいスタートを切る人たちの
幸せを祈るばかり

(2023.12.31.5:24)