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わからいでもない

わからいでもない。

「分からないでもない」という意味だと思って聞いているけれど、誤用かもしれないし、他所の方言かもしれない。「ただ声に出して言ってみたいだけの日本語」ベスト5にインする言葉を今日は使いたいがための文章をしたためます。

それに至ってしまった状況と心情はわからいでもない。

連日報道されている凄惨な事件。その共通項としてやり玉に上がっている中年ひきこもりの存在ですがとても遠い他人事とは思えないと思いながら見ていました。

死ぬならひとりで死ね、こんなやつ殺されて当然だ、というマッチョな意見はさておき。

殺した方も殺された方も自尊心が深く傷ついていたのでしょうか。傷ついた自尊心はやがて怒りに変わり、憎悪は日に日に膨らむばかり。自死すれば自分が悪い、人としての敗北を認めることになる。俺(僕)は何も悪くないのに何故こんなにも虐げられているのか。不運なのは彼らを取り巻く環境が比較的文化度の高いところ(のように感じました)だった故、より自分との差がより顕著に感じられたのではと想像します。勝手にです。

「ひとりで死んだら負けだと思った。だからこれは負けじゃない」

「勝手にこの世に産んどいて、勝手に殺すのか。こんな理不尽な世界に誰が産めと言ったんだ」

彼らがこう思っていたかどうかは定かではありませんが、私が彼らのような状況だったらきっとこう思っていただろうと想像します。だから勝手に。

行動にはうつせま(しま)せんが、わたしも濃度の薄い同じような想いを抱くことはままあります。
擁護はしませんが、彼らの高い自尊心と自意識。それが傷ついた怒りと不安と孤独。

それらすべてを淡いところで「わからいでもない」と思うのです。





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