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FM802「Around the MARK'E SONIC STYLE」によせて - たまにのエッセイ テレビとラジオ no.1

 本をあまり読まない。文字を読むのが苦手だ。でも本屋さんで気になる雑誌を片っ端からチェックするのが好き。とくにコラムやエッセイのページで手がとまる。POPEYEやBRUTUSで好きな劇作家やミュージシャンが書いている文章を読むと、何となくニヤッとしてしまう。その人の為人を少し知れた気持ちになり、その人と密かな友達になれた気になる。そんな自分もエッセイが書きたい。自分の為人で誰かをニヤッとさせたい。しかしだ。読書よりテレビ・読書よりラジオ、そんな毎日で10代をズルズルと過ごしてきたので、この手の文章を書くのが人一倍に苦手なのだ。変なところで句読点を使ってしまったり、何が言いたいのかハッキリしない文章を書いてしまう。なので練習がてら、nidone.worksのホームページ内でエッセイを始めてみることにした。テーマはどうするか。考えるまでもなくテレビとラジオのことだ。

 大学生だった頃、といっても数ヶ月前までのこと。僕はFMのラジオ局でADの仕事をしていた。その理由はもちろんラジオが好きだから。そのキッカケは中学1年生の春「NHKラジオの『基礎英語1』を聴いて英語の勉強をしなさい」という親の意向で、カセットテープで録音ができる通称ラジカセを買ってもらった事。本屋さんで売っている教材テキストも買って新学期に望んだが、桜が散って間も無く敗北。それと引き換えに、基礎英語1が終わったあとすぐの22時、偶然選局のチューニングがあった周波数80.2MHzのFM802に耳が留まった。気がつくと基礎英語1を録音するためのラジカセに、FM802の番組を録音する日々が続いた。僕が初めて夢中になって聴いた番組は『Around the MARK'E SONIC STYLE』。ドラムとシャウトで始まるオープニング。どこの国の音楽かも想像がつかない癖のある選曲に、終始ハイテンションなトーク。小ボケをいれたCMフリとスタイリッシュなジングル。そんな番組を放送していたDJのマーキーさんとはADになってからバッチシ目を合わせてお世話になるのだが、当時はリスナーとしてそのキテレツなDJの存在に想像が膨らんだ。それまではテレビ番組ばかりを観ていた僕からして、音だけを頼りに想像しながら楽しむラジオは「新しい友達」だった。テレビとラジオ、そんな友達をふたり持つことで、僕は実際の友達との交友関係をおざなりにしてしまうこととなった。そして頼まれてもいないのにテレビとラジオについてのエッセイまで始めてしまった。後悔はない。

2018.10.15

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