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自選短歌30首

歌人の時は町田もちこを名乗らせて頂いています。短歌を初めて約1年
現在はのらねこ歌会さんに所属させて頂いています。
初めて作った歌をまとめてみました。

自選30首。なんとか集まりました。

お読みいただけると嬉しいです。

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前向きに考えるっていう君の背中についたチャックを見てる

ふきのとうきっとそれは花でしょう春をさっくりと揚げてみる


オレンジの花の白さを知らぬまま大人になろうジャムは苦いし


タンポポの花より綿毛の方が好き遠くに遠くに旅しておいで


直さない寝癖は春の日のように柔らかくゆれて二度目の夢で


遠ざかる青い風を追いかけて二人でちぎった雲の切れはし


指し示す気持ちの行き先見えぬけど君シャツの裾いつも出ていて


自立した大人ふたりで向き合える恋のいろは色は憧れ


席は窓側だったかもすれ違って一人カフェオレ君もカフェオレ

見聞を空気といくつか吸い込んでスポンジとなり膨らむ身体

柔らかく湖面に流れる音楽を水草越しに聴いてる人魚

アカペラの港に降りた星達が床屋に映すアメリカンドリーム

春の日はお日さま溶けて微睡みにロシアパンにはふんわり潜る

おばあから貰った服は手仕事で未だに黄ばまぬ裏地のレース

遠ざける気持ちと泣くことさえ出来ずグラスに氷を一つ投げ込む

空が吐く静かな呼吸を聞いていて尻尾を振ってるみたいな木の枝

北からの雨と南の雨が話すイソップのあれは風が駄目だね

ソックスのゴムが緩んで『さよなら』の君の手紙を思い出した日

青い影こだまのように広がって君の形が散りばめられる

海と森、空にも伝えてきたけれど期限付きの約束だって

あたしの春さよなら春という名の白い犬冷たい場所に置いてきちゃった

曇りガラス言葉の配慮が足りないし近すぎる空のモチベーションも

山崎のジャムパン売ってるコンビニに路地から差す陽は甘くて赤い

大阪の一番高いとこに立つ生まれた場所を見つけるために

夕映えの長めの影をなびかせて並んだ膝とパピコを分ける

森となり祈りの途中で折り返す遠くの風を迎えに行くため

ひさかたの宇宙(そら)に伸びゆく月光の先に小さく架かる星屑

(聞いてるの?)この曲好きって言葉にも猫背の君はスマホを見てる

黒いサイフォン周りの景色と君のこと上映すだけの小さな星だ

覚えてる見上げた顔は透けた傘通して見せた消えそうな色

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