じわじわと襲ってくる不安と絶望/フランツ・カフカ『審判』
どう考えても逮捕される理由など一つも思いつかない平凡なサラリーマンKが、ある朝突然自宅に押しかけた監視人の男たちに逮捕される。「変身」と同様、カフカの小説は意味や根拠といったものをごっそり欠落させたまま話が進んでいく。
平易な文章にも関わらず読むのに苦痛を感じるのは登場人物たちの退屈極まる話と言葉の空々しさによるものかもしれない。その空々しさは、第1章から第10章まで(付録も2つある)のうち、第7章の弁護士の話まで続く(ここで小説全体の半分くらい)。
それまでの各章の内容