マガジンのカバー画像

読書レビュー

8
Amazonのカスタマーレビューとしても投稿+加筆
運営しているクリエイター

記事一覧

通過できてない通過点の物語

一つの小説を読み終わり、期間を置いて再び思い出すとき、私の頭に記憶されているのはその小説…

Molly
2年前
2

殺人の動機は「太陽のせい」

現代の問題にも置き換え可能な”不条理”を問う、アルベール・カミュの名著「異邦人」を再読し…

Molly
5年前
13

これが孤独でないのなら、何を孤独というのだろう/ウィリアム・フォークナー『アブサ…

フォークナーレビューの最後。 「響きと怒り」と同じくアメリカ南部ミシシッピ州の町ジェファ…

Molly
5年前
4

”血”の呪いが選択不可能な道を選択する/ウィリアム・フォークナー『八月の光』

どんな小説にも言えることですが、この「八月の光」を面白く読めるかどうかは、登場人物や舞台…

Molly
5年前
5

職業による保障がない人間は異邦人?/フランツ・カフカ『城』

城の伯爵から測量士としての仕事を依頼されてやってきたはずなのに、いつまでたっても実際的な…

Molly
5年前
3

最後まで読めたのはミスター・ポパイのおかげ/ウィリアム・フォークナー『サンクチュ…

「響きと怒り」に続いてフォークナーの作品を読むのはこれが2作目。本作もフォークナーの「ヨ…

Molly
5年前
1

じわじわと襲ってくる不安と絶望/フランツ・カフカ『審判』

どう考えても逮捕される理由など一つも思いつかない平凡なサラリーマンKが、ある朝突然自宅に押しかけた監視人の男たちに逮捕される。「変身」と同様、カフカの小説は意味や根拠といったものをごっそり欠落させたまま話が進んでいく。 平易な文章にも関わらず読むのに苦痛を感じるのは登場人物たちの退屈極まる話と言葉の空々しさによるものかもしれない。その空々しさは、第1章から第10章まで(付録も2つある)のうち、第7章の弁護士の話まで続く(ここで小説全体の半分くらい)。 それまでの各章の内容

浮き上がってくる家系の血の匂い/ウィリアム・フォークナー『響きと怒り』

フォークナーは中上健次が愛読していた作家だということで読んでみた。“意識の流れ”という独…

Molly
5年前
3