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東京自習会の美術鑑賞サークルの皆さんと「北欧の神秘」展(SOMPO美術館)へ

美術館前の外看板の前で集合(参加者5名)。
キッテルセンの「トロルのシラミ取りをする姫」(1900年ノルウェー美術館所蔵)が目玉で、ミュージアムショップにもこの作品モチーフのグッズが可愛くデフォルメされて売られていました。

北欧といえば、私のイメージは、介護がない(寝たきりを延命ケアする発想がない)、男女完全平等(北限の地域につき貧困、海沿いの地域だと男性は漁で基本不在、女性も土木従事、女性の体格がアジアと比較にならないほどガタイがいい、働けるじゃなくて男女関係なく労働しないと労働力も税金も足りない、消費税ごっつい)、
自然豊かなというよりは、都市部の失業率の高さ、貧困のイメージ、
白夜により延々続く昼間あるいは夜間という、当たり前に昼は明るく夜は暗い地域では想像できないメンタルに響きそうな時間感覚・・・という。
大好きなアキ・カウリスマキの映画(貧しい庶民がドン底の暮らしの中でも小さな幸せをつかんでいく系統が多い)

「世界の果てのビートルズ」や「誠実な詐欺師」あたりで描かれる、それはもう沈鬱なもはや陰惨な、でも逞しく強い、寒さと白夜に閉ざされた世界という印象が強くて、
一般的に皆さんが「北欧」に感じる「オシャレ」「いろいろ先進的」「ほのぼの」「神秘的な神話(RPGなどで用語がよく引用されるので若い方々も、世界樹とかラグナロクとかきっとご存じ)」という好印象とはかなり真逆なイメージをもっていたのでした(特に覆らない)。

家具がオシャレなのは、寒くて雪に閉ざされ、また白夜で外が真っ暗な時期も、おうちの中くらいは素敵に温かく優しい雰囲気にしたい、からですね。

北欧の映画の中にも、日本人が思うザッツ北欧!という、ほのぼのした明るく穏やかな作品もたくさんありますヨ。物事にも人にも国にも、必ず複数の側面があるものですし。

私はアル・パチーノ主演の「インソムニア」(狂気のノーラン監督の初期作)の衝撃で、北欧=時間感覚の消失=狂気 というのが刷り込まれてしまっています。

島じゃないけどある意味非常に島国っぽい印象です。北欧。
ヨソはヨソ、うちはうち。という。
日本は本当に文化が入ってこなかったのでガラパゴスな美術文化が(中国に影響は受けているけれども)発展しましたが
北欧の場合は、情報は充分に入ってくるんだけど、うちらはフランスとかの真似はせぇへん。という強い意志のナショナリズムが昔はあったようですね。日本の木版画にインスパイアされたものはいくつかありました。美術館内の説明にもありましたが。

自分たちのアイデンティティを美術作品で表現する。
もんのすごい強い意志を感じる作品が多かったです。好きですね。

伝説、神話、伝承。日本の「森」は小さい。いてもトトロ。あちらの「森」は違う。
物の怪や魔女やおそろしいものが棲まう。それらと完全に棲み分けていない。美しい娘はさらわれ孕まされる。船乗りは襲うなんてつもりもなくヌっと出現する怪物に船を転覆させられる。
でもさらわれて、王子の助けが来ない姫はトロルのシラミをとってやる。「ここで生きていくしかないなら受け入れるしかない。」

神話モチーフの絵には、自然と生きることへの優しい諦念と受容を感じる絵が多かった。
暗いからこそ、わずかな灯りが温かい。

SOMPO美術館といえば3億円ひまわりですね。初めてホンモノを観ることができました。これも撮影OKですが、企画展にも、これは撮影OK,ぜひSNSで観てきたよと広めて、という張り紙、どの美術展にも増えてきました。
ゴッホ、黄色いな。相当病んでるなぁとしみじみ。
執念、執着。仏教的にはよろしくないものですが、こだわってないものは芸術じゃないですからね。

非常に心惹かれたクレーゲルの「春の夜」とシンベリの「素晴らしい花」
沈まない太陽が地平線を禍々しく朱色に染め、取り乱した女の髪のように枝は細く、芽吹きもせず広がっている。

金持ちは巨大な美しい花を切り取って所有しようとする。
傍らには貧しい男の裸足の脚を小さな赤い花が包んでいる。男は花を踏まない。
どちらも、花を愛でているのだ。

今回、4月から参加した東京自習会で初めて参加したサークル活動で
自分の子供たちよりお若い方々と一緒に美術展を楽しみ感想をシェアするという素晴らしい機会に恵まれました。

絵の愛で方に正解はありません。
大学時代に美学美術史を専攻したので、学術的な「正解」はあるのは知っていますが、感じ方には正解も間違いもありません。
作者がどんな意図で描いたかを知ることは重要ですが、
文章も絵も、「受け取る側が感じることがすべて」です。

「なんかいいな」「なんか好き」「これはイヤな印象」それでいいのです。
なぜ、そう感じるのだろう?と疑問をもつと、その先があるということです。

カヲルくんの「歌はいいねぇ」じゃないですけど
歌を含め、絵、芸術こそ、リリンがリリンであるゆえんだと思います。

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