覚悟が決まり過ぎてる女の子とやきもきしている男たち「BECKY」の簡単な感想※ネタバレあり


「BECKY」
 いやあ、変な映画だなあと。
 家族を殺された少女がネオナチから逃げ回りつつ復讐を果たすという、一見するとよくあるような内容なのですが、見ている印象が全く違う。
 普通、こういう映画のリベンジシーンには多かれ少なかれカタルシスというものがあるのだけど、この映画には全くない。主人公のベッキーを捕まえようとする連中はどいつも及び腰で、「きみのこと積極的に傷つけたいわけじゃないんだわ……」的な態度で近づこうとして、ぶち殺される。カタルシスどころかドン引きである。いやこいつやり過ぎだろ、みたいな。
 でもとても面白かった。冒頭からしてさらっと万引きをやらかすベッキーは明らかに社会不適合者だ。あまりに暴力的すぎるし、ネオナチより周りが見えていない。それってすごいことだと思う。
 こういう映画って大抵は、逃げて逃げてそれでもだめで反撃に転じる、みたいなのがあるものだが、ベッキーは違う。父親を殺された瞬間、スイッチが入ってネオナチをぶち殺すことしか考えなくなるのだ。それがわかる最大のシーンが最後に、どうしても子供を殺すことに抵抗を覚えているネオナチの一員を、なんかいいこと言ってるげなのを無視して撃ち殺すシーン。こいつ多分、中盤に見逃されたときもなんも話聞いてないしなんも考えてないなという、そんなことがわかる。
 マジな暴力というのは呆気にとられるものなんだなと、そんなことを思いました。リベンジもので得てるカタルシスとか嘘だよ嘘、みたいなね。なんかそれっぽくしてるけど実際はこんなよみたいな。
 面白かったなあ。
 感想でした。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?