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サブカル起点の外国語学習

数日前に拝読してから、つらつら考えていること。
まずはこちらの引用から。

教育業界では韓国語が主(本丸)、Kコンテンツが従(韓国語学習の活用、手段、エサ)と捉えて教育していますが、そこを逆転させないといけないのです。
Kコンテンツをエサ(例文など)に文法を教えるのではなく、純粋にKコンテンツを深めるための言語学習にするというスタンス、「Kコンテンツで学ぶ韓国語」ではなく「韓国語で学ぶKコンテンツ・韓国文化」でないといけないのです。

KPOPファンが韓国語を学ぶときに起きること より

筆者は日本の大学やNHKのラジオ講座で韓国文化や韓国語を教えている。
K-popが好きだから、という理由で韓国語学習を始める人は、文法重視の現在のスタイルだと離れがちだという話。

私もドイツで日本語を教えているが、学習者の8~9割は程度の差こそあれ、アニメ、マンガ、ゲーム好き。
私もマンガは好きなので、まさに筆者のいうところの「コンテンツをエサ(例文など)に文法を教える」ところをすることがある。
オンラインの個人レッスンなら、初めに好きなアニメを聞いておいて、初めのうちはそのキャラクターで練習問題を作ることもある。
「Narutoはラーメンが好きです」とか「アーニャは1年生です」とか「デクはヒーローアカデミーの1年生です」とかね。

ただ、大学の授業ではアニメ好き以外もいるので、あまりそこを深くしていくと、逆につまらない、分からないという人も出てくる。
アニメが好きという人たちだって、進撃の巨人が好きなのか、鬼滅の刃ファンなのか、約束のネバーランド推しなのか、人それぞれだ。

私はカリキュラムに関われない雇われ非常勤講師なのでどのみち無理だけど、「〇〇で学ぶ日本語」みたいな日本語クラスを作ってみたらどうかと思ったことはある。
筆者が例に出している「BTSと学ぶ韓国語」みたいなやつだ。

でも、BTSのようにファンが多いならともかく、どのアニメがそもそも一番人気なのか決められない。
One pieceとNarutoは、多分ほとんどの人が「知って」はいるけど、全巻そろえてるとか、全話見たかというと、多分そうじゃない。
「何巻のあのシーンでさ・・・」と語れるほどじゃない。

しかも、お休み期間中にBTSがファンを失っていっているように、必ず栄枯盛衰がある。
いつまでも流行ってはないのだ。
私自身がどれか暗唱できるほどはまっているものがあって、いつでも引用できるとしても、そのマンガ・アニメにどれほどの求心力があり続けるかは分からない。いや、多分いつかなくなる。

しかも公的な立場で行ったり、SNSなどで配信するのは著作権の問題がある。
きちんと出版社を通して、版権を持っている会社から本を出してもらえば可能かもしれないけど、やっぱりじゃあどのマンガでやるの?!という話になってしまう。
読みこんで、応用するのに膨大な時間がかかる。
しかも、絶対紙になった時点でつまらなくなる!
(そういう意味では、やるならSNSだろうけど。
しかもいつも最新話とか使って!
ただ、翻訳が来るまでに時間はかかるし、みんなNeflixとかあるわけじゃないけどね。)


確かに逆方向で、「薄桜鬼」の動画を一緒に見るとか、Stray Kidsの日本語歌詞の歌を読むとかしたことはあるけど、やっぱり学習者にある程度の基礎がないと難しいと思った。

そんなわけで結局私は日本のサブカルをちょっとだけ「エサ」にする、というレベルから脱せないだろうなと思う。
思うけど、どんな形で学習者の思いをつなげていってあげられるか、という問いは続けていこうと思う。

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