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病んでる人をエンタメとして楽しんでいいものか

躁うつ病のラッパーが苦しみながらもバトルに挑む動画を観ておどろいた。



この動画の晋平太という人である。明らかに元気じゃないし、なんだか目つきや挙動がおかしい。

こういう状態の人をエンタメとして面白がっていいものか。私もまた、病んでいるときに人前でおかしな振る舞いをしたことがあるだけに、これをどう見ていいか悩んだ。


ここまで彼がくたびれているなら、いっそのこと欠場させても良かったんじゃないだろうか。

ただこの、芸術の世界では「病んでる」「感動」につながってしまう危険が大きい。それはラップに限らない。ロックバンドなんかでも、精神的に病んでる人がかっこよく見えたり、絵画や演劇の世界でも同じようなことはありうる。


なので、こないだ書いた音楽の記事と同じく、こういうのは鑑賞する側のメンタリティが関係しているように思う。「客の質」とでも言おうか。精神的なあやうさを楽しむというのは、紐のちぎれそうなバンジージャンプを楽しむ感覚に近い。それは危険なことだ。

実際、パルクールの動画を楽しんでいる人も多い。そこでは、「失敗したらこうなるんだよ」という現実もセットで見せるのがいいというのが私の意見だ。そこで客の質が問われると思う。

病んでる人が欠場したり、パルクールの選手がミスして骨折したりしたら一気にしらけてしまうだろう。でもそれによって、自分がいかに異常なものを楽しんでいたのか実感する。それがエンタメの限界だと思う。それは、限界は実は存在するんだよ、という警鐘にもなる。

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