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連載版;20XX年のゴッチャ・前編

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連載した20XX年のゴッチャ・1~66を纏めました
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記事一覧

連載・20XX年のゴッチャ その1

もう一つの車列 分厚い壁のような警護の輪が赤絨毯を幾重にも取り囲んでいた。 壁を…

新野司郎
1年前
1

連載・20XX年のゴッチャ その2

20XX年一月オーフ・ザ・レコード  時を現在に戻す。 その名を冠した小さなバーが東京の…

新野司郎
1年前

連載・20XX年のゴッチャ その3

クラプトン・マニア  少し説明しておくのが良いだろう。  スロー・ハンドの異名を持つギタ…

新野司郎
1年前

20XX年のゴッチャ その4

王府井大街  本文割愛し、先を急ぐ 悪童  二十世紀の終わり頃、マイケル・ジョーダンの…

新野司郎
1年前

纏め読み;20XX年のゴッチャ 1~16

これは近未来空想小説と言うべき作品である。 その1;  もう一つの車列  分厚い壁の…

新野司郎
1年前
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20XX年のゴッチャ その17

 自己隔離  その夜、菜々子がオーフ・ザ・レコードに到着すると二階の住居部分から賑やか…

新野司郎
1年前

20XX年のゴッチャ その21

抗体依存性感染増強   「その抗体依存性なんちゃらが危険なのは分かったが、Nタンパクの邪魔をすると抗体依存なんちゃらが出て来ても大丈夫ということ?」 「抗体依存性感染増強だよ。覚えにくいならADEと言う方が簡単さ。で、実はNタンパクはコロナの遺伝子を包んでいる殻みたいなものを作っていて、抗原検査なんかで探知できるのだけど、これが時々、ウイルスに侵入された細胞の外に顔を出すらしいんだ…」  翌日午後、ルークは知り合いのウイルス学者・道明寺昭彦に根掘り葉掘り訊ねていた。ズーム

20XX年のゴッチャ その23 

 御前会議  「列車内の様子はその後どうなっている?」  習近平主席が幾分甲高い声で尋…

新野司郎
1年前
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20XX年のゴッチャ その24

通報  「内容的には目新しいとは言えないな。これが意味するものは何なのか?」  アメリカ…

新野司郎
11か月前
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20XX年のゴッチャ その25

 北京支局   菜々子の乗った全日空機が北京空港に着陸態勢に入った。すると、少し離れた…

新野司郎
11か月前
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20XX年のゴッチャ その26

 オルリー空港  パリ南方のオルリー空港ではAAI、エア・アンビュランス・インターナシ…

新野司郎
11か月前
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20XX年のゴッチャ その27

 お茶  翌日、北京駅に隣接するホテルの上層階の部屋でメトロポリタン放送北京支局の特派…

新野司郎
11か月前
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纏め読み;20XX年のゴッチャ 17~27

  自己隔離 その夜、菜々子がオーフ・ザ・レコードに到着すると二階の住居部分から賑や…

新野司郎
11か月前
7

20XX年のゴッチャ その28

 首脳会談   金正恩総書記が、午後一時半過ぎに人民大会堂に到着すると出迎えた中国共産党対外連絡部の郭燿部長にまず記帳台に案内された。そこで、総書記は自分のペンをまず取り出そうとしたのだが、促され、用意してあった毛筆で記帳した。どのみち指紋は取れないよう指には処置を施してあった。  控えの間に通され段取りの最終確認をしてから、総書記が会談の場に入ると習近平主席が待っていた。会談の部屋の中まで同行したのは通訳と記録係、護衛二人だけだ。 「お久しぶりです。主席閣下にこ